「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。
今回は、SPI XiPインターフェースを使用してマイコンに大容量の外部メモリを接続する方法について解説した記事をご紹介します。
■フラッシュレスMCUの使用によるシステムコストの低減と性能の強化
現在、マイコンと周辺デバイスは、ピン数が少なくて済むI2CやSPIなどのシリアルインターフェースで接続するのが一般的になっています。メモリもパラレル接続にするとデータ線と制御線以外にアドレス線も必要になるので、同様です。しかし、メモリの場合は、1本の信号線でデータを送るのではさすがに遅すぎるということで、SPIのデータ線を増やしたデュアルSPIやクワッドSPI、オクタルSPIといった仕様を採用したマイコンやフラッシュメモリが登場しています。
また、より高速にアクセスするために、XiP(eXecute-in-Place)モードを採用したマイコンも開発されています。XiPは、フラッシュメモリをSPIファームウェアドライバでアクセスするのではなく、マイコンのプログラムメモリにマッピングしてアクセスする仕様です。これにより、外部メモリを内部メモリと同じように扱うことが可能になり、直接マイコンがプログラムを実行させることができます。キャッシュを追加すれば、実行速度をさらに向上させることもできます。
最近のIoT機器などではAIなど高度な処理を要求されるようになり、マイコンの内蔵メモリだけでは容量が不足するようになっています。そのため外部メモリを接続せざるを得ませんが、それなら内部フラッシュメモリのないマイコンを採用した方が全体のコストが下がるのではないかという考え方も出てきました。
【アプリケーションラボ】の解説では、フラッシュメモリを搭載していない高性能なマイコンとして、NXP Semiconductors社のArm Cortex-M7をベースに600MHzのクロックで動作するRT1052/RT1051(写真左)を紹介しています。RT1052とRT1051は、搭載する周辺機能が異なります。また、SPI XiPインターフェースに対応したメモリとして、Adesto Technologies社の容量が32MビットのATXP032-CCUE-T(写真右)を紹介しています。このメモリのSPIクロック速度は最大133MHzで、消費電流はわずか19.9mAです。これらを組み合わせることで、高性能でコスト効率の良いIoTエンドポイントを構築できます。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
i.MX RT1050クロスオーバプロセッサ 【MIMXRT1052DVL6B】 1,332.18円 |
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i.MX RT1050クロスオーバプロセッサ 【MIMXRT1051DVL6B】 1,268.97円 |
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32Mbitフラッシュシリアルメモリ 【ATXP032-CCUE-T】 635.06円 |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■最適なデバイスの選択に役立つエンコーダ出力信号の理解 モータをコントロールするためには、位置や速度を検出するエンコーダが重要になります。ここでは、アプリケーションのニーズに応じて適切なデバイスを選択できるように、一般的なエンコーダの出力タイプであるオープンコレクタ、プッシュプル、差動ラインドライバについて詳しく解説します。
■産業用アプリケーションに適した条件ベース監視用のMEMS振動センサシステムの構築 あらゆる生産ラインでは自動化が進み、際限のないメンテナンスと修理のサイクルに直面しています。そこで、産業用機械の故障やトラブルを早期に発見して効率を上げるために、MEMSセンサを用いて振動解析を行う方法について解説します。
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