セミナー

【定期開催セミナー】AI時代の論理的思考力を養う文献精読塾 in 秋葉原_マルツエレック

AI時代の論理的思考力を養う 文献精読塾 in 秋葉原

マルツエレックでは、AI時代のものづくりのヒントを探す読書セミナー・シリーズを開催しています。

今日、AIはビッグデータから機械学習を行うことで、自動的に情報のパターンを判別する力を高めています。従来は人間でなければできなかった情報の「意味」の判定・判別まで、AIが行えるようになり始めています。

ここで問題になるのはAIが行うデータの判別と、私たちが行う意味の判定が対立した場合です。AIは人間よりも多くのデータを人間よりも早く解析し判別を行います。そうなると人間が行う判別よりも、AIが行う判別のほうが性能が良いことになるのでしょうか? 私たちは自分の判断ではなく、AIが下した判断の方に従ったほうが良いのでしょうか?この問題を考える手がかりは次の点にあります。

AIが行うデータの判別と、人間が行う意味の判別

この二つの関係を考えることが、AI時代の人間の未来を考えるヒントになります。


本セミナーシリーズでは「意味」をキーワードに、思考の手がかりとなる本を精読し、その概念の体系を理解し、実際に働かせる方法を学びます。セミナーの前半は講師による論点整理と思考の手がかりとなる概念体系を紹介します。後半はポイントとなるページを参加者で精読し、その概念体系と論理を読み解き、問題の立て方を考えます。

AIを応用したサービスを企画/開発している方、AIと人類の関係やAI時代の教育に関心をお持ちの方など、文系理系を問わず「考えるヒント」をお探しの方におすすめのセミナーです。是非お気軽にご参加ください。

 【キーワード:AI、自然言語、意味、論理的思考力、読解力、事業構想力、情報教育】

 

次回開催スケジュール

【2020年2月21日開催】AI時代の論理的思考力を養う 文献精読塾(第2回)

ものづくりのヒントを探す読書セミナー「AI時代の論理的思考力を養う文献精読塾 in 秋葉原」第2回を2020年2月21日(金)に開催します。

前回セミナーでは「AIと意味」の関係を考える手がかりとしてユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』を取り上げました
ハラリ氏が人類の歴史を動かした鍵として注目するのは私たち人類が「虚構」を作り出し共有する力です。
セミナーでは虚構を作り共有するための「メディア技術」の歴史に注目しました。音声から文字、印刷技術への進化と、それにともなう「意味」のあり方の変化について考えました。

AIが扱う客観的な「データ」と、人間が扱う主観的な「意味」をつなぐ鍵はハラリ氏のいう「虚構」あるいは「共同主観性(間主観性)」にあります。虚構や共同主観性は言語を含む「記号」に支えられています。

第2回セミナーでは、ハラリ氏の著作と合わせ言語、記号が意味を生成する力について、理解を深めていきます。今回は特に言語の分節作用に着目し、『サピエンス全史』に加え、中沢新一氏の著作『レンマ学』を精読します。

●講師:今江崇氏 [博士(学術)電気通信大学、マルツエレック株式会社顧問]
●日時:2020年2月21日(金)13:30分〜16:00
●場所:マルツエレック本社(東京本社)【地図・アクセス
●料金:15,000円(税別)/回【資料代含む】
●定員:6名
●ご持参いただく物:
 1 中沢新一著『レンマ学』
 2 ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』(上下巻)

●セミナーの内容
前半、講師による論点整理と思考の手がかりとなる概念体系の紹介を行います。
後半、ポイントとなるページを参加者で精読し、その概念体系と論理を読み解き、問題の立て方を考えます。
第1回未参加の方の、第2回からのご参加を歓迎いたします。

開催レポート第1回:2020年1月24日(金) ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』

第1回のセミナーでは「AIと意味」の関係を考える手がかりとしてユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』を取り上げました。

認知革命ー虚構を共有する力

『サピエンス全史』が人類の歴史を動かした鍵として注目するのは私たち人類の「虚構」を作り出し、共有する力です。数万年前の私たちの祖先は「声」を使ってまだ誰も見たことがない場所、行ったことが無い場所のことを仲間と語り、そのイメージを共有する力を得ました(認知革命)。その力のおかげで先祖たちは世界各地に移住することができたというのです。

声というメディア技術

人類史の最初の数万年間、この虚構を作り共有する力「声」というメディアテクノロジーに全面的に依存してきました。私たちの祖先は声を使って虚構を作り共有するという人類特有の環境の中でその脳を進化させたのです。声というメディアテクノロジーが利用可能である条件は、語り手と聞き手が空気の振動である音声を聞き取ることができる距離に居るということです。時間と場所を共有しない人には声は届かないのです。声だけの世界に生きた祖先たちは歌や物語に託して、先人が作り上げた「虚構」を時空を超えて次世代に伝えようと努力したのです。

文字の発明と「正解が書き込み済の世界」

ここに後の人類史に決定的な影響を与えた技術革新がありました。文字の発明です。文字は声よりも遥かに効率よく時間と空間を超えて「虚構」を共有できるようにしたのです。文字というメディアテクノロジーによって、今日につながる国家や宗教といった巨大な人間の組織が生まれました。

ところで、文字は書き手から遠く離れたところで読まれその意味を解釈されます。大きな組織を維持するためには、読み手が解釈する意味が、書き手が込めた意味からずれないようにすることに注意が払われます。これが書かれた文字の「正しい意味」は書き手のところで予め既に決まっている、という発想につながります。文字を管理する組織は「最初の書き手が込めた正しい意味」ということを信仰するようになります。これが巨大な組織を長期間持続させる力になる一方、この世界で問題になることのすべてには予め答えが出ており、その答えは聖なる文書に書き込み済である、という発想をもたらしました。

科学革命と「無知の発見」

こうした発想を覆したのが「科学革命」です。世界の問題の答えは、どうやら古代から伝えられた聖なる文書の中には書き尽くされていない。そう気づいてしまった人々が近代の科学技術の扉を開いたというのです。科学が最初に発見したのは「無知」であるとハラリは言います。無知であることを知ること、つまり「知らないということをに気づく」ということ、これが世界を未回答の問題として観察し、その謎を解こうとする科学技術の世界を開いたのです。

ところが、この科学革命の副産物として、人類は古来から伝えられてきた人生に意味を与える「虚構」をもまた、疑わなければならなくなりました。そうしたところに登場した人類の世界に意味を与える新しい虚構が「人間至上主義」であり、その人間至上主義を揺るがしているのが今日のAIである、という話に展開するのですが、ここから先は『サピエンス全史』およびハラリの他の著書(『ホモ・デウス』、『21 Lessons』)を読んでみてください。

まとめ

第1回のセミナーでは、講師から「虚構」と「メディアテクノロジー」を『サピエンス全史』を読み解くための軸として提示し、全体の話題を俯瞰しました。その上で関係するページを参加者全員で購読しました。そしてディスカッションを通じてハラリが言う「虚構」の問題をより深く知るために、人間の言語についての理解が欠かせないとの話に至りました。AIが扱う客観的な「データ」と、人間が扱う主観的な「意味」

データ × 意味
客観性 × 主観性

主観性と客観性をつなぐ鍵は「共同主観性(間主観性)」にあり、共同主観性というのは言語あるいは意味作用をなす記号に基づくものです。第2回以降のセミナーでは、ハラリの著作と合わせて「言語」の理解に通じる文献を取り上げて参ります。



(文責:AI時代の論理的思考力を養う文献精読塾 in 秋葉原 担当講師 今江 崇)

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