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Digi-Key社【アプリケーションラボ】技術解説記事のご紹介「完全差動アンプおよび高分解能ADCを使用した高分解能ECGの設計」

 「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。

 今回は、Analog Devices社の低ノイズドライバと高分解能のA/Dコンバータを用いて高精度のECGシステムを開発する方法について解説した記事をご紹介します。

■完全差動アンプおよび高分解能ADCを使用した高分解能ECGの設計

 ECGはelectrocardiogramの略で、心電図のことです。【アプリケーションラボ】の解説では、Analog Devices社のADA4945-1とAD7768-4を使用して高精度なECGシステムの開発方法を解説しています。標準的なECGシステムには患者の皮膚に貼り付ける12の電極があり、ミリボルトの1,000分の1、つまりマイクロボルトの心拍信号を感知します。

 ADA4945-1は低ノイズ/低歪みの完全差動アンプで、2種類の消費電力モードを持ちます。3V~10Vの電源電圧で動作し、高分解能の逐次比較型A/DコンバータやΣ-Δ型A/Dコンバータを駆動するのに最適です。静止電流は4mAで、1.4mAの低消費電力モードで動作することも可能です。コモンモード電圧が調整可能なので、複数のADCの入力コモンモード電圧に対応できます。

 AD7768-4は、4チャンネルの同時サンプリングが可能なΣ-Δ24ビットA/Dコンバータで、Σ-Δ変調器、チャンネルごとのデジタルフィルタ、AC信号とDC信号の同期サンプリングのイネーブル機能を備えています。これにより、精度の高いDC/AC入力信号の測定を可能にしています。

 ADA4945-1とAD7768-4は、用途は様々に考えられますが、最初から医療用計測器のために組み合わせて使用するように設計されたデバイスだと思われます。

 心電図は、1903年にオランダの生理学者ウィレム・アイントホーフェンによって測定されたのが始まりです。2点の電極を一組として心電図を記録する方法を双極誘導法と呼び、2点の電極を一組として多くの電極を取りつけると、その数だけ多くの心電図を記録することができます。少ない電極で多くの心電図を記録する方法として、アイントーベンの三角形と呼ばれる原理があります。アイントーベンはアイントホーフェンの英語読みです。

 この原理を利用すれば、3つの電極を取りつけるだけで3つの双極誘導心電図を記録することができます。1つの電極がマイナス電極とプラス電極の役割を担います。3点の電極があると、その中心部に架空の電極を形成することができます。この電極は手で触れることができないので、不関電極と呼ばれます。この不関電極を基点として、実際に取りつけられた電極との間で心電図を記録する方法を単極誘導法と呼びます。3点の電極があれば、3つの単極誘導心電図を記録することができます。

 アイントーベンの三角形の原理を用いれば、3つの電極を取りつけるだけで、計6誘導(3双極誘導+3単極誘導)の心電図を記録することができます。3つの電極は四肢に取りつけるため、この方法で記録される心電図のことを(四)肢誘導心電図と呼びます。最も一般的な心電図は、四肢に取り付ける肢誘導と、胸部に取り付ける胸部単極誘導6本からなる12誘導心電図と呼ばれるもので、計12種の波形が記録されます。

 ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。

完全差動ADC用ドライバ
【ADA4945-1ACPZ-R7】 588.31円
24ビット/4チャンネルΣ-ΔA/Dコンバータ
【AD7768-4BSTZ-RL】 2,835.56円
AD7768-4用評価用ボード
【EVAL-AD7768-4FMCZ】 16,352.17円
SDP-H1コントローラボード
【EVAL-SDP-CH1Z】 26,769.15円

 下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。

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