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今回は、産業用に使用される電源に要求される要件とその対策、そしてRohm Semiconductor社のSiCデバイスの活用について解説した記事をご紹介します。
■電源デバイスを正しく適用し産業用電源としての要件を満たす方法 コンシューマ用の電源は低コストで高性能になり、電源回路の設計で悩まされることは少なくなりましたが、産業用の電源はコストや基本性能、効率、動作モード、絶縁の有無といった様々な要件により、適切なものを選択しなければならないという難しさがあります。一般的には、運転コスト、熱の放散、法規制への対処などが最優先されます。この対策として最も効果があると考えられるのは、SiC(シリコンカーバイド)デバイスを採用することです。
SiCデバイスはSiデバイスに比べて、「破壊電界強度がはるかに高いため、同じ電圧定格でも薄い膜厚で動作が可能で、オン抵抗を大幅に抑えられる」、「熱伝導率が高いため、断面積における電流密度が高い」、「バンドギャップが広いので高温でのリーク電流を低く抑えられる」という利点があります。
おおまかに比較すると、SiCのMOSFETはSiのMOSFETより10倍の耐圧を持ち、25℃では約10倍の速さでスイッチングできます。また、Siの125℃に対し、SiCは200℃という高温での動作が可能なため、熱設計と熱管理が容易になります。
【アプリケーションラボ】では、産業用電源の設計要件について解説した後、Rohm Semiconductor社のSiCデバイスを使用した設計例を紹介しています。例えば、SCT3105KRC14は1200V、24A、150mΩの一般的なRDS(on)のNチャンネルSiCパワーMOSFETですが、優れた熱抵抗特性を備えています。また、統合型150mΩパワーMOSFETを備えた降圧スイッチングレギュレータのBD9G341AEFJ-E2は、外部部品が少なくてすみ入力電圧が12V~76Vで3Aの出力電流が得られます。上図に示すBSM300D12P2E001は、1200V/300Aを処理できる2つのSiC二重拡散MOSFET(DMOSFET)とSiCショットキーバリアダイオードを備えたハーフブリッジモジュールで、配線や物理的な取り付けを容易にするだけでなく、熱に関して考慮する必要がなくなります。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
NチャンネルSiCパワーMOSFET 【SCT3105KRC14】 2,246.67円 |
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1チャンネル降圧コンバータ内蔵FET 【BD9G341AEFJ-E2】 701円 |
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SiCパワーモジュール 【BSM300D12P2E001】 81,733.68円 |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■セキュリティに関する十分さとは セキュリティが十分かどうかは様々な要件で異なり、保護する対象や攻撃の可能性などを考慮する必要があります。ここでは、中小の企業でも対応可能な攻撃から守るための費用対効果のトレードオフについて解説します。
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