「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。
今回は、対象物までの距離や速度、動きなどを計測するToF(飛行時間)技術ならびにアナログデバイセズ社とESPROS Photonics社のキットを活用する方法について解説した記事をご紹介します。
■3D ToF(Time-of-Flight)アプリケーション開発をすばやくスタート
ToF(Time-of-Flight)は、対象物体に向けて光や超音波、電磁波などを照射して反射してくる時間を計測することで距離を測定する技術です。測定範囲や分解能の兼ね合いからレーザー光や赤外線LEDが一般的に使用されますが、自動車用途などでは霧や雨に左右されにくいミリ波が用いられます。受光素子は、距離を測るだけならフォトダイオードで十分ですが、ジェスチャコントロールなどに使用する3次元の検出にはCCDセンサーが用いられます。CCDの各素子に到達する時間の違いを計算することで立体情報に変換します。
2000年頃から実用になり始めたToF技術は、1m離れた対象物に光を当てて反射してくる時間が数ns程度であり、受光素子に入る反射光は照射光の数%しかないため高精度を要する技術で、半導体技術の進歩により実用化できたと言えます。計測するのは実際の飛行時間ではなく、照射光に変調をかけて反射光との位相の遅れを検出し距離に換算します。
【アプリケーションラボ】では、ToF技術や3D光学ToFシステムについて解説した後、アナログデバイセズ社とESPROS Photonics社の3D ToF画像センサの特長と使い方を詳しく解説しています。ESPROS社は、2006年に設立されたスイスに本社を置くCCD/CMOSセンサメーカーで、自社の工場で製造しています。
アナログデバイセズ社の3D ToF開発プラットフォームAD-96TOF1-EBZは、Panasonic製のToF用CCDセンサーを搭載した本体基板と4個の面発光レーザーを搭載した基板の2層構造になったメザニンボードです。制御にはアナログデバイセズ社製の96Boards互換プロセッサボードが推奨されていますが、Raspberry Piを接続することもできます。
ESPROS社のepc660ToFイメージャは、320×240のCCDアレイとピクセルあたり12ビットの距離データを生成するために必要なタイミング/信号処理機能を搭載したデバイスです。また、epc660評価キットは、epc660の評価用に設計された組み立て/テスト済みのカメラシステムです。epc660を動作させるために必要なカメラレンズや照明を含むすべてのハードウェアがセットになっています。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
3D ToF開発プラットフォーム 【AD-96TOF1-EBZ】 94,700円 |
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epc660評価キット 【EPC660 EVALUATION KIT EU & US】 577,187.37円 |
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epc660TOFイメージャ320×240 【EPC660-CSP68-007】 5,993.33円 |
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DepthEye Turbo-VGA TOFカメラ 【114991967】 82,077.89円 |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。 ■TDK-Lambda製PFH500電源モジュールを使用した過酷な環境向け電源の設計 最近は電源にも自己診断機能や遠隔からの更新や調整、監視といった機能が求められています。そのためにはデジタル電源管理通信プロトコルであるPMBusが一般に使用されます。ここでは、信頼性の高い電源ソリューションとして、PMBusを採用したTDK-Lambda社のPFH500シリーズ電源モジュールを紹介します。
■アンチエイリアシングローパスフィルタの基礎(およびADCに適合させる必要性について) A/D変換において、ナイキスト周波数より高い周波数をサンプリングするとエイリアス(折り返し雑音)が発生し、正しいデータを得られなくなります。ここでは、正確なA/D変換を実現するために高周波成分を取り除くアンチエイリアシングローパスフィルタの基礎と設計方法を解説します。
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