「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。
今回は、プリント基板上のIC間やプリント基板間でデータのやり取りができるI2Cバスについて解説した記事をご紹介します。
■Inter-Integrated Circuit(I2C)バスでIC接続が容易になる理由とその使用方法
I2C(Inter-Integrated Circuit)バスは、1980年代前半にオランダのPhillips Semiconductors社(現在はNXP Semiconductors社)によって開発された2線式のインターフェースです。SPIバスと並んで、現在では多くの半導体デバイスがI2Cバスをサポートしています。SPIバスは3線または4線の信号線が必要ですが、I2Cバスはシリアルデータライン(SDA)とシリアルクロックライン(SCL)の2本の信号線でデータの送受信ができます。
I2Cではマスタデバイスとスレーブデバイスが存在し、複数のスレーブをマスタに接続することができます。スレーブには固有のアドレスが与えられていて、データにアドレスを加えて送信することでどのスレーブと通信するかを識別できるようになっています。
当初のI2Cの最大クロック速度は100kHzでしたが、現在は3.4MHzにまで拡張されています。とはいえ、低速のインターフェースです。また、I2Cはシステムが動作中でもデバイスの接続や取り外しが可能です。
1995年にインテル社が策定したシステム管理バス(SMBus)はI2Cのサブセットで、一般的にI2Cと互換性があります。
< PKSERIAL-I2C1 >
【アプリケーションラボ】では、I2Cの基本仕様について解説した後、Microchip Technologies社のPICkitシリアルI2CデモボードPKSERIAL-I2C1を使用してI2Cプロトコルのタイミングなどを詳しく解説しています。
PKSERIAL-I2C1は、24LC02B(2KビットシリアルEEPROM)、MCP9801(温度センサ)、MCP3221(12ビットA/Dコンバータ)、TC1321(10ビットD/Aコンバータ)、MCP23008(8ビットI/Oエクスパンダ)の5つのデバイスを搭載し、I2Cによる通信と操作を行うことができます。
PKSERIAL-I2C1は、PICkitシリアルアナライザ(DV164122)に簡単に接続できるように設計されていて、テストポイントに電圧計やオシロスコープを接続すれば計測したデータを読み取ることができます。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
PICkitシリアルI2Cデモボード 【PKSERIAL-I2C1】 4,513円 |
|
2線シリアル温度センサ 【TCN75AVOA713】 172円 |
|
2線シリアルI/Oエキスパンダ&ファンコントローラ 【MIC74YQS-TR】 309.72円 |
|
下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■ToF(Time-of-Flight)測距の迅速な展開を可能にする組み込み済みソリューション
ワンチップのToFデバイスが登場したことで、ToFによる距離測定や近接センシングが一般的になってきました。ここでは、ルネサスエレクトロニクス社のToFベース信号処理ICであるISL29501を搭載したDigilent社のPmod ToFボードを使って、ToFセンサのしくみと光学距離計測を行う方法について解説します。
■マイクロコントローラ内蔵のドライブICを使用したモータ制御設計の迅速な実装
自動車やロボティクスなどにおける小型化と低価格化という要求に対応するため、マイコンとモータ制御回路が一体となったデバイスが登場し始めています。ここでは、STMicroelectronics社のMCUを内蔵した3相モータコントローラSiPの概要と使い方を詳しく解説します。
|