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今回は、新型コロナウイルスの感染拡大などで急激に需要が増えた医療用の温度計測に使用される温度センシングデバイスについて解説した記事をご紹介します。
■医療向けポータブル/ウェアラブルデバイス設計に迅速に統合できる臨床グレード温度センシング
温度は一般生活において最もなじみのある物理量ですが、意外と正確に測ることが難しい物理量でもあります。それは、温度が分子の運動エネルギーの統計的な平均値と定義されていますが、分子の運動エネルギーを直接測定することが厳密には不可能なので、2次的な測定になってしまうからです。
とはいえ、一般的な用途では高精度な測定を必要とする機会はそれほど多くはありません。コンピュータに取り込むセンシング用としては、熱電対、測温抵抗体(RTD)、サーミスタ、温度センサーICなどが一般に使用されています。特に、白金を用いた測温抵抗体は、13.81K~1234.93Kの範囲で標準温度計として使用されるほど高精度な測定ができます。
しかし現在は、比較的直線性が良く、取り扱いが容易なためポータブルやウェアラブルのヘルスケアデバイスに搭載しやすいといった理由で、温度センサーICが主として利用されるようになっています。ただし、医療用として使用するためには、わずかな過電力でもセンサー自体の温度が上昇し正確な測定ができなくなるのでその対策を行った上で、米国食品医薬品局やEUの商品基準適合CEマークなどの、各国で定められた認定を受ける必要があります。
< デジタル温度センサーMAX30208の評価システム >
【アプリケーションラボ】では、Maxim Integrated社のMAX30208、ams社のAS6212、Melexis社のMLX90614という3種類の温度センサーICを取り上げて特長や使い方を解説しています。
MAX30208は1.7V~3.6Vで動作する低電力のデジタル温度センサーで、ウェアラブル機器などに適しています。精度は±0.1℃(+30℃~+50℃)および±0.15℃(0℃~+70℃)で、16ビット(0.005℃)の分解能を備えています。
AS6212は8つのI2Cアドレスを備え、複数の温度を監視するのに適しています。工場出荷時に完全に校正され線形化されているので、あらゆるシステムに簡単に統合できます。-10℃~+65℃までの範囲で±0.2℃の精度を備え、-40℃~+125℃までの範囲で16ビットの分解能を提供します。
MLX90614は、非接触で温度を測定できる赤外線温度センサーです。17ビットのA/Dコンバータと5~14μmの赤外線を透過するバンドパスフィルタを内蔵し、高精度で高分解能の計測ができます。インターフェースはPWMとSMBusがあり、SMBusの場合は最小分解能が0.02℃です。PWMの場合は範囲設定にもよりますが最小分解能は0.14℃です。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
I2Cデジタル温度センサーMAX30208 【MAX30208CLB+】 417.33円 |
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MAX30208評価システム 【MAX30208EVSYS#】 7,876.67円 |
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高精度デジタル温度センサーAS6212 【AS6212-AWLT-L】 413.33円 |
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赤外線温度センサーMLX90614 【MLX90614ESF-AAA-000-TU】 2,128.89円 |
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IrThermo click 5V 【MIKROE-1362】 6,744.44円 |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。 ■IoTセキュリティの基礎(第4部):ランタイムの脅威を軽減する
IoTセキュリティの基礎について5回に分けて解説を行っていますが、今回はその第4回目です。今回は、IoTデバイスのセキュリティにおいてランタイム環境への攻撃を軽減するために必要な隔離を確保する方法を解説します。
■ソフトウェア無線の基礎を学ぶ
ソフトウェア無線(SDR)は、1つのハードウェアで複数の無線周波数を受信することができる技術です。主に軍用として開発されましたが、現在では低価格なハードウェアと無償のソフトウェアを利用することができます。ここでは、SDRの概要とAdafruit社の安価なモジュールについて解説します。
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