2016年04月26日

資料・技術情報

FR-50B用VFOの製作 その3【製作編】

◎ロータリーエンコーダの決定

ロータリーエンコーダについては機械式および光学式の両方に対応する回路にしてあるのですが、かなり迷いました。

用いるロータリーエンコーダによりケースデザインに影響します。
そこで、実験基板を用い、実際に仮のケース(パネル)に各種ロータリーエンコーダを取り付けて、感触を確かめてみました。

結論として、個人の好みがあると思いますが、写真5の光学式、クリック無しを採用することにします。

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◎プリント基板の製作

★感光基板を用いる

サンハヤトの感光基板NZ-P10Kを用いました。

写真6に部品実装した状態を示します。
NZ-P10Kのサイズは75mm×100mmなのですが、部品面積、パターン的にも余裕があります。

放熱器は電源部の3端子レギュレータ用です。
セットの消費電流は約90mAです。
例えば、電源供給電圧を13.8Vとすれば3端子レギュレータは5Vですから、消費電力は、(13.8V – 5V )×90mA = 0.792W です。
この値は3端子レギュレータの定格内ですが実際にはICの表面温度はかなり高くなります。

ケースに収めてしまえば、ICに触れることはないのですが、部品スペース的に余裕がありましたので、放熱器を用いています。

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AD9834のピッチは0.65mmです。
このピッチは筆者の自作基板ではエッチングに自信がありません。
安全策として以下のピッチ変換基板を用いました。

メーカー:ダイセン電子工業
型番:D020

プリント基板への実装は図19のように1列連結プラグにより、はんだ付けしています。

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★下手なパターン設計をしてしまった

AD9834への制御信号(FSYNC,SDATA,SCLK)はPICのポートRB7,RB6,RB5を用いています。
これはユニバーサル基板時の接続をそのままプリント基板へも反映したものですが、部品実装時に「おかしなパターン」と思いました。

現状のパターンは図20 a ) で、PICのはんだ面には太いGNDパターンがあるので、部品面にてジャンパーを用いて配線しています。
部品配置から考えると、この方法になるのが自然なのですが、配線が長くなり、余計なジャンパー線が必要です。
今回はFR-50B専用なので、PICのピン(ポート)がかなり余っています。

そこで図20 b ) のようにRA0,RA1,RA2をAD9834の制御に用いれば、ジャンパーもなくなり、最短距離で配線できます。
RA0,RA,RA2はデジタルI/O以外にAD機能も持っていますので、単純なI/O制御はそれ以外のポートにしたい筆者のクセがあるようです。

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◎ケース

★用いたケース

今回はタカチのKC5-13-15BSを用いました。
このケースは図21のような構造でパネルはABS樹脂です。
色はパネルがブラック、それ以外はシルバーの組み合わせとしました。

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★パネルフレームをフロントにする

図21のようにABS樹脂部が本来のフロントなのですが、今回はパネルフレームをフロントとしてみました。

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これにより、フロントパネルのデザインは図23のようになっています。

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◎組み込み

写真7に組み込んだ内部の様子を示します。
LCD、スイッチ等へのプリント基板からの配線はすべてコネクタです。

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◎思い込みがあるとミスしやすい

★バックライトの接続に注意

LCDのバックライトが点灯しない現象で悩みました。
ユニバーサル基板での実験時はきれいにバックライトが点灯していたのですが、プリント基板で製作したものでは点灯しません。

実験時との違いは以下の通りです。

①LCDとの接続はコネクタ。
②LCDを新品にした。

コネクタによる接触不良が考えられなくもないので、LCDを実験時のものに交換してみると、今度は点灯します。

もう一度新品LCDに交換すると、これは点灯しません。
何が原因なのかと両方のLCDを並べて眺めると、新品LCDのはんだ面がやけにきれいです。
さらに眺めると、実験時のLCDの一部のパターンがはんだブリッジのようになっており、新品LCDでははんだブリッジはありません。

これかなと思って、LCDの取扱説明書を見ると「14ピンコネクタから電源を使用してバックライトを点灯するにはJ2,J3をはんだショートする」というようなことが書いてあります。

新品LCDもはんだショートし、今度はバックライトが点灯しました。
実験時に用いたLCDは色々な製作実験時にいつも使っているものです。
したがって、14ピンコネクタに必要な配線をすれば動作するという思い込みがあるので、今回もあらためて取扱説明書は読んでいません。

思い込みがあるとミスしやすいものです。

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◎完成外観

なんとなく、周波数カウンターを思わせるようなデザインになってしまいました。
用いたLCDはLinkmanのTC1602E-13Tです。
個人的な好みですが、背景が青で白文字は好きです。

チルトスタンドはやはり必要です。
今回はタカチのCT-1を用いています。

写真9はLCDの表示具合で、シンプルな表示が良いです。

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◎FR-50Bとの運用

図25に機器間の接続を示します。
DDS VFOとFR-50B間は市販の両端BNCオスの3D-2Vケーブルを用い、FR-50B側は変換コネクタを用いています。
3D-2Vは少し太いです。
1.5D-2Vあたりが良い気がします。

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◎運用した感想

実に快適です。

一度、チューニング(同調)すれば周波数が動く心配がありません。

トグルスイッチによる切り替えは操作性が良く、1KHzステップは、バンドの端から端へすぐに移動することができてすごく便利です。
周波数ステップの10Hzは不要な気がします。
10Hzステップを他のステップにすることはソフトウェアの簡単な変更で済みますが、とりあえず、このまま残すことにしました。

ロータリーエンコーダはやはり、光学式のクリック無しで正解でした。
特に、金属性の少し大きいツマミと組み合わせると、感触が良いです。

◎トランシーバーへの応用(案)

トランシーバーへの応用をちょっと考えてみました。

PIC16F886はポートが現在余っています。
そこで、図26のように必要なトランシーバー機能をポートへ接続し、ソフトウェア処理を行なおうというものです。

思いつきで構成を書いてみたのですが、不足の機能があるかもしれません。
大きさもサンハヤトの感光基板NZ-P10Kに入る気がします。

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◎まとめ

FR-50BのAUXの穴を見たとたん、外部VFOを作ることを思いつき、構想から製作まで行ってしまいました。

AD9834のパッケージは20ピンのTSSOPなので、自作(手はんだ)の場合、少しつらいところがあります。
しかし、このパッケージも慣れるとはんだ付けはそれほど難しくありません。

AD9834の応用例は色々あります。
今回はFR-50B専用としましたが、図26のようなトランシーバー用VFOなどは非常に興味のあるところです。

ぜひ、AD9834を使用されてはいかがでしょうか。

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