2015年09月18日

オーディオ

ヘッドホンアンプキット(LHPA-DIA_BUFFER-KIT)の作り方 その2

今回は、ロングセラーのヘッドホンアンプキット(LHPA-DIA_BUFFER-KIT)の作成方法を紹介します。

このヘッドホンアンプキットは、2009年にLinkmanから発売されたヘッドホンアンプ単品のキットです。
発売から時間がたっていますが、その回路構成や部品は、現在でも通用する優れた性能になっており、今でも売れ続けているヒット商品です。
はんだ付け作業もありますが部品点数もそれほど多くないので気軽に高音質ヘッドホンアンプを作成できます。
本体は、モジュール化された1枚基板になっていますし、電源も+5V~+12Vまたは、±2.5V~±6Vと様々な電源に対応しているので、自作のアンプに追加したり、ケースに入れて単独のヘッドホンアンプにしたりと多彩な用途に適応しています。

それでは、このヘッドホンアンプの詳細な作成方法、オペアンプの交換による音質改善、ケースへの組み込みいろいろな電源供給方法など、順を追って紹介していきます。


その2では、完成したキットの動作確認と特性チェックを行います。
いきなり電源入れてキットを壊したり、ヘッドホンを壊したり、最悪の場合耳を傷めることにもなりかねません。
ここからは慎重にチェックをしましょう。

 

1.チェック手順

①説明書にあるように、まず、電源がショートしていないかPOWER +V、-Vの間をテスターで確認します。抵抗レンジで、数十MΩ以上であれば問題ないでしょう。

②電源を接続します。

※写真のようにテストポイントにポストを立てて電源コードを接続すると確認しやすいです。

 

③電源を入れたら、各ポイントの電圧をテスターで確認する。まずは入力している電源電圧からチェック。

※今回は+12V片電源を使用しているので、V+,V-間は、12Vになっています。

 

④出力端子の電圧確認

 

※片電源の場合は、電源の-VはGNDではありません。テスト端子の真ん中がGNDです。

 

※出力に電圧が出ていないので、ヘッドホンを壊す心配はなさそうです。

 

⑤入力側も確認しましょう。

 

※入力側も大きな電圧は出ていないので、接続した機器を壊すことはなさそうです。

 

 

⑥オペアンプの電源電圧を確認します。

 

※オペアンプには、片電源電圧の半分の電圧が+-でかかっているはずです。 写真のように+側は6Vです。

 

※-側は-6Vになっています。

 

2.入出力チェック

①実際に信号を入れて確認してみます。

※このようにRCAジャックを入出力につけておくと、確認に便利です。

RCAジャック 赤白2連 基板取付型【HLR-3223VXA-001H】

 

②ここからは、PCのソフトを使用したりして、確認することができます。

フリーウエアのWaveGeneratorWaveSpectraといった便利なソフトもありますので、チェックしてみてください。

実際のオシロスコープでの観測波形を紹介します。

※これは、入力に1KHz/1Vrmsを入れたときの出力波形です。

L,Rどちらも2Vrms出力になっていますので、このヘッドホンアンプは、2倍+6dBのゲインがあることがわかります。

※周波数帯域を見るために80KHzを入力してみました。

 

2Vrmsが1.76Vrmsに落ちていますが、このゲインダウンは-1.1dBです。

この測定に使用したDACの出力LEVELも80KHzでは-1dB落ちますので80KHzまで周波数特性はフラットであるといえます。

いまはやりのハイレゾにしっかり対応していますね。

 

3.周波数特性

上記のチェックで周波数特性は、非常に優秀であることがわかりましたが、入力1Vrms、出力2Vrmsは、ヘッドホン出力としては、過大で、こんな音量で再生したら耳が潰れてしまいます。
2Vrmsで、32Ωのヘッドホンを接続した場合、その出力は、0.125Wになります。
説明書の特性データーでも+12V使用時33Ω負荷で、120mWとなっていますから、SPECどおりの出力が出ていますが、よほど能率の低いヘッドホンでなければ十分な出力です。
300Ωのヘッドホンでも13mWの出力が出ます。
実使用のレベルとしては、32Ω感度104dBのヘッドホンで120mVrms出力(0.48mW)程度で十分な音量が得られます。
逆にカナルタイプなどのヘッドホンで、インピーダンスが低く、感度の高いものでは、音量が高すぎてコントロールしにくい事があると思いますので注意してください。
ポータブルプレーヤーの出力は、20mW程度と低いものが多いです。
60mVrms入力(120mVrms出力)での周波数特性を測定してみました。

 

 62mVrms入力 32Ωヘッドホン負荷

周波数A 出力レベル 1KHz偏差
10Hz 84mV -3.3dB
20Hz 112mV -0.89dB
1KHz 124mV 0dB
10KHz 124mV 0dB
20KHz 124mV 0dB
40KHz 124mV 0dB
80KHz 108mV -1.2dB

※80KHZは、出力DACの性能で-1dB落ちるので実際には下がっていない。

以上のように非常に優れた周波数特性になっています。

 

4.試聴

ここまでのチェックが終わった状態で、ようやく試聴が可能となります。

実際に再生してその音質を確認してみましょう。

 

【注意】この状態ではボリュームがありませんから、入力した信号レベルの倍の出力がそのまま出ます。
入力に接続する機器は、ボリュームコントロール可能なものを使用していっぱいに絞った状態から徐々に上げるようにしてください。
入力にボリュームまたは、抵抗負荷を入れて、予めゲインを下げておくのも良いと思います。

 

しかし安全のため、めんどうですが、きちんとボリュームもつけて組み上げてしまいましょう。

(1) 取付DCジャック 2.1mm MJ-10   1個

(2) ACアダプター 12V1A STD-12010U2 1個

(3) 2連式ボリュームA特性 50KΩ RD925G-QA1-A503 1個

(4) ミニジャック PJ324M 2個

(5) ツマミ 6mmのものならならお好きなのを選んでください。 例 つまみ 22X19BTS

以上を準備します。電源が別にある場合は、(1),(2)は必要ありませんね。

 

①まず最初におまけ基板にボリュームとミニジャックを取り付けます

※おまけの基板なので、ミニジャックが真っすぐ取り付きません。 この写真もかなりリードを曲げたりしましたが、ここまでです。

 

②入出力に配線をします。今回は細いシールド線を使ってみました。

※チェックしやすいようにスペーサーを取り付けています。ツマミは(5)とは違います。手元にあったものを流用しています。

 

③電源コネクターの配線です。端子がショートしないように熱収縮チューブを被せています。

熱収縮チューブはこのようなワイヤー処理に便利です。ホットガンやドライヤーでなくてもハンダごてを軽くあてるだけで収縮します。

 

④これで完成です。

私の環境(32Ω/104dBのヘッドホンと2Vrms出力のDAC)では、この50KΩのボリュームでも音量が大きすぎます。そのような場合は、ボリュームの後に抵抗でさらにゲインを落とすと良いと思います。

 

5.ワンポイントアドバイス

このヘッドホンアンプを自作セットなどに組み込む場合は、必ず±電源を使用してください。
片電源で使用した場合は、このヘッドホンアンプのGNDが+側にオフセットすることになります。

この基板や入出力をシャーシGNDに落とさないようにして入力もコンデンサーでオフセット分をカットすれば良いですが、この時はオフセット分が収束するまで、電源オン・オフ時にノイズが発生したりすることがあります。
単独で使用する場合以外は、±電源を使用するようにしてください。

このヘッドホンアンプキットは、±6Vまで使用できます。
これ以上の電源電圧を使用する場合は、±5Vから±15Vの電源に対応したヘッドホンアンプキット【LV2-HPAM-KIT】をご利用いただけます。
制作方法の記事もありますので参考にしてください。 ヘッドホンアンプキット LV2-HPAM-KIT 作成方法

次回は、オペアンプを変更して音質の変化を楽しむ方法を紹介します。

 

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