2015年11月30日

資料・技術情報

レフレックスラジオの製作 基板製作・部品実装・ケース加工編

◎レフレックスラジオキット

筆者の趣味の一つはラジオです。
特にAM放送が好きで、市販品ラジオのコレクション、自作なども趣味になっています。
写真1は何かのレポート時に登場したかもしれませんが、HOMERのレフレックスラジオキットです。
昭和61年に購入し、組み立てないで保存していたのですが、とうとう数年前に組み立ててしまいました。
小型ですが、スピーカを内蔵し、音が気に入っています。
この機種は現在では販売されていませんが、このようなレフレックラジオキットは各メーカーから販売されていると思います。

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図1は4SP-420のブロック図です。
レフレックスラジオはご存じのように、1個のトランジスタで高周波増幅と低周波増幅を行うものです。
4SP-420ではさらに低周波増幅を行い、プッシュプルでスピーカを鳴らす構成になっています。

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感度、選択度はどうしてもスーパーヘテロダイン方式に劣りますが、4SP-420などは私好みの音です。
レフレックスラジオのコレクションが少ないことに気づき、また、製作経験も少ないことにも気づきました。
そこで、レフレックラジオを製作することを思いつきました。

◎収納ケースを決める

仕様、設計を始める前に収納ケースを決めておきます。
アンテナはバーアンテナですから、用いるケースはプラスチック製です。
手持ちのケースを整理しているうちに写真2のフタ付透明プラスチックケースがいくつか出てきました。
市販品の洗練されたデザインのケースを用いるのも良いですが、これを見ているうちに、このケースを採用することを思いつきました。
透明ですので、ラジオの中が見えます。
ずいぶん昔、30年くらい前にこのようなケースをさかんに用いた時期がありました。
その頃に、まとめ買いをした残りです。
包装のセロテープがボロボロですね。
右のものは包装していなかったので汚れていますが、包装したままのものはキレイです。
電子部品もそうですが、ケースもなかなか捨てられません。
特に、ケースはデータシート上での確認より実物を見たほうがイメージがわきます。
感触であったり色具合などは実物にかぎります。

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◎ケースの中の構造を考える

ケースは図2の構造で、フタにスピーカを実装した場合で考えてみます。

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図3は電池に006Pを用いた場合、図4は単4電池2本を用いた場合で、図2のA面を見ています。
基板部品面が本体内部になる方向で、スペーサにて固定し、バリコンのダイヤルはケース横に少し出る形です。
図3ではスピーカの下部に基板が配置されますので、基板面積を大きくとることはできますが、スピーカのマグネット部を避ける大きな丸穴が必要です。
今回の基板は感光基板ですが、大きな丸穴加工がむずかしいところです。

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図4では単4電池ですので、この部分の高さは低く、電池ケースも使用できます。
図4ではスピーカを左方向によせて、マグネット部ぎりぎりまでが基板サイズになり、丸穴加工は不要です。
ただし、基板サイズは図3より小さくなりますので、回路規模が制限されます。

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他の方法があるかもしれません。
図3の方法であればHOMERの4SP-420と同じ回路構成ができそうです。
しかし、丸穴加工のことを考えると少し面倒になりそうなので、今回は図4の方式を採用することにします。

◎回路

ケースと構造が決まりました。
基板サイズは約65×65になりそうです。
これを元に回路構成を考えます。
4SP-420はレフレックス後の構成は低周波増幅~電力増幅(プッシュプル)ですが、この基板サイズでは無理な気がします。
電源が3Vですからスピーカ音量を求めなければプッシュプルにするは必要はありませんので、電力増幅は1石とし、レフレックス後の低周波増幅を省略することにします。
このように構成した場合のブロック図を図5に、回路図を図6に示します。
音量ボリュームはレフレックス部(Q1)のバイアスを調整する方式です。
他の方法として電力増幅(Q2)の前に音量ボリュームを入れることも考えられます。
ずいぶん昔にこの方法でレフレックスラジオを組んだことがあるのですが、ボリュームを絞り切ることができず、また、発振にも悩まされたことがあり、それ以来、レフレックスラジオは発振しやすくむずかしいという印象があります。
このようなことで私はレフレックスラジオを避けていたようです。

バリコンのところにANTとなっている部分は外部アンテナ接続用の端子です。
レフレックスラジオは地元局(ローカル局)専用ですが、外部アンテナを接続した場合にどうなるか実験的に行うためのものです。
図6では表現していませんがボリュームVR1はスイッチ付で、電源スイッチを兼ねています。
トランスT1はおなじみのST-32で、線による配線を避ける目的でピンタイプのものを採用しています。
バーアンテナは大きな形状のものが感度が良いです。
ただし、ケースサイズ、実装により大きさが制限され、今回は長さ50mmほどの平型を用いています。

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◎部品表

バーアンテナは手持ち部品です。
固定はバーアンテナホルダを用いるのですが、ホルダの形状に合わせて平型です。
バーアンテナホルダも見かけなくなった部品ですね。
スイッチ付平型ボリュームも入手が難しいかもしれません。
φ3.5モノラルプラグは外部アンテナ製作用で、これにφ3の真鍮(しんちゅう)棒をはんだ付けします。

部品表

部品番号品名型番メーカー数量
ANT1 バーアンテナ PB-450 1
C1,C4 セキセラ 0.01μF CT4-0805B103K Linkman 2
C2 セラコン 220pF 1
C3 ケミコン 3.3μF/50V 50PK3.3MEFC Ruby-con 1
C5 ケミコン 10μF/50V 50PK10MEFC Ruby-con 1
C6,C7 ケミコン 220μF/25V 25PK220MEFC Ruby-con 2
D1,D2 ゲルマダイオード 1N60 2
J1 φ3.5モノラルジャック 1
L1 チョークコイル 1mH 1
P1 φ3.5モノラルプラグ 1
Q1,Q2 トランジスタ 2SC1815-Y 2
R1 カーボン抵抗1/4W47k 1
R2,R5,R6 カーボン抵抗1/4W4.7k 3
R3 カーボン抵抗1/4W12k 1
R4 カーボン抵抗1/4W3k 1
R7 カーボン抵抗1/4W100Ω 1
SP1 スピーカ 直径約57mm 1
T1 トランス ST-32P SANSUI 1
VC1 ポリバリコン単連 CBM-113B-1C4 1
VR1 スイッチ付平型ボリューム5k 1
XANT1 バーアンテナホルダ 2
XBATT 単4電池×2本用電池ケース BH421A Linkman 1
XVC1 ポリバリコン用ダイヤル DAW 1
感光基板 NZ-P10K サンハヤト 1
ケース 1
金属スペーサ、ビス類 1式
φ3 真鍮棒 適量

◎基板製作

サンハヤトの感光基板で作りました。
結局、基板サイズは65×68となりました。
写真3のように大きな切欠きがあり、この部分はボリュームです。
写真4はスイッチ付平型ボリュームの外観です。

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◎ケース加工

写真7は加工後のケースの様子です。
プラスチックといっても材質は不明ですが、スピーカ穴のいくつかにヒビが入ってしまいました。
用いた工具はボール盤です。
加工の腕にもよると思いますがむずかしいものです。
選局ダイヤルおよびボリュームつまみは図7のようにフタの一部を切り欠いて手で操作できるように加工します。
この部分はヤスリで加工しています。
金属と異なりプラスチックケースは加工は楽なのですが、神経を使います。

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◎部品実装と組み込み

線材による配線は図8のように5本です。非常にすっきりしています。

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写真6が裏から見た様子で、部品面積的にはかなり余裕があります。
写真7のようにフタは簡単にあけることができ、閉めたときのストッパーなどは用いていません。
選局ダイヤルとボリューム加工部が若干、変形しているので、結果的にフタが本体にきつく嵌合されます。

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回路および定数はプリント基板製作前にユニバーサル基板にて実験を行って決めています。
早速、組み込み後に電源を入れて選局すると、どうも様子がおかしいです。
やけに感度が良く発振気味です。
定数は実験時に決めていますし、回路的にもおかしくはないはずです。
試しにバーアンテナをホルダから外すと発振はなくなり、バーアンテナの向きを変えて元の位置に戻すと発振しません。
どうも、バーアンテナとコイルL1が結合されて、お互いの向きによっては発振するようです。
L1の向きを逆にすれば発振は起きにくくなり、さらに抵抗(10kΩ)を並列接続すれば発振はなくなります。
ただし感度が若干低下し、レフレックスラジオのむずかしいところです。
結局、並列抵抗の接続はやめることにして感度比較を行うことにしました。

写真9に1MHzのAM波(1KHz,30%変調)を受信したときの波形を示します。
上がQ1のベース、下がスピーカ出力です。

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◎4SP-420と比較

写真10の機種で感度比較します。
一番奥のSONY ICF-M260はPLLシンセサイザー方式のラジオで、受信局の確認用に用いています。
それ以外のラジオはアナログ方式ですからどこの放送局かすぐに分かります。
写真11は本機用の外部アンテナで、アンテナ有無の実験もあわせて行います。

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私は関東地方在住で、表2に私の地域から受信できる放送局の一覧を示します。
送信所との位置、距離関係によってはこの表どおりにならないと思います。
ちなみに、NHKの送信所が私からは一番近い位置関係になっています。
結果はSINPOコードで表しています。
SINPOコードとは数字で受信状態を表すもので、感覚的なものです。
Sは信号強度のことで、数字が大きいほど電波が強く、Iは混信の程度を表します。
Nの雑音、Pの伝搬障害も含めてOで総合的に表します。
例えば、SINPO = 45454 であれば、信号が強く、混信は無し、雑音は少しで伝搬障害も無く、総合的に良いという意味です。
一般的に地元局を受信した場合が一番良好ですから55555になります。
点数は直観的に付けました。
人によっては点数が異なると思いますが結果についてはご容赦願います。
レフレックスラジオは地元局(ローカル局)が主な対象です。
参考としてスーパーヘテロダイン方式AR-606の結果も記入しました。

表1 SINPOコード

数字 信号強度S 混信I 雑音N 伝搬障害P 総合品位O
5 最も強い なし なし なし 最も良い
4 強い 弱い 弱い 弱い 良い
3 良い 中位 中位 中位 中位
2 弱い 強い 強い 強い 不良
1 微弱 最も強い 最も強い 最も強い 不可

伝搬障害:フェーディング

(参考資料)アマチュア無線入門ハンドブック CQ出版社 昭和49年

スーパー方式はさすがにすべての局が受信できています。
レフレック方式同士での比較では4SP-420のほうが総合的に良い結果です。
ただし、本機に外部アンテナを接続すると感度改善になることがこの結果により分かりました。
レフレックスラジオの場合、1242KHzのニッポン放送は私の地域からでは受信がむずかしいのですが、初めて受信することができました。

表2 受信比較結果 (受信日:2015年 7月3日 10時~11時)

6石スーパー
AR-606
4石レフ
4SP-420
本機 本機+
アンテナ
594KHzNHK第1
300KW
55555 55555 55555 55555
693KHzNHK第2
500KW
55555 ①54555 ①54555 ①54555
810HzAFN
50KW
45555 × × ×
864KHz栃木放送 那須
1KW
15251 × × ×
954KHzTBS
100KW
45454 ②21452 ②11452 ②23453
1062KHz栃木放送 足利
1KW
35353 13451 × 13451
1134KHz文化放送
100KW
45555 ②45554 ②35554 ②45554
1197KHz茨城放送 水戸
5KW
25252 × × ×
1242KHzニッポン放送
100KW
35353 × × 22552
1422KHzラジオニッポン
50KW
35353 × × ×
1458KHz茨城放送 土浦
1KW
25253 × × ×
1530KHz栃木放送 宇都宮
5KW
25152 × × ×

×受信できず
594KHz混信
693KHz混信

◎まとめ

今までレフレックスラジオでは受信できなかった局が受信できたことに驚きです。
発振寸前に調整すれば感度が上がります。
やや発振気味のところに調整すれば表2で受信できない局も受信可能なことが分かりました。
ただし、感度を追及するようなものではありませんので、ほどほどの感度が良いです。
音に関しては4SP-420に勝てません。
試作機は特に音が悪いようには感じられませんが、比較すると余裕の無い音に感じられます。
4SP-420はキットを購入しましたが完成品も販売されていたと思います。
私が最初に購入したラジオはACEの2石レフレックスラジオAR-205(完成品)です。
この機種は手元になくて音の比較はできませんが、これも良い音だったことでしょう。

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