2015年08月26日

資料・技術情報

LV-2.0 シリーズ音質改善 その2

今回は、前回に続き、LV-2.0シリーズの音質改善についてオペアンプを中心に紹介します。

オペアンプにはさまざまな種類があり、プリアンプ部など直接音質に関わる部分に使用されている場合が多く、

オペアンプを変更する事により音質の変化を楽しむことが可能な部品です。

メーカーによっては、オーディオ用として開発されているものもありますし、雑誌やネットでも様々なオペアンプの紹介記事や音質の評価などが掲載されています。

価格もさまざまで、数千円もするようなものもありますが、割と気軽に購入して変更する事が可能です。

ここでは、LV-2.0のプリアンプに採用されているオペアンプを変更する場合を中心に特にオーディオで使用される様々なオペアンプの紹介と使い方について紹介したいと思います。

 

1 オペアンプの種類

まず、LV-2.0のプリアンプ部に搭載されているオペアンプを見てみましょう。

8ピンのソケットに刺さっているのがオペアンプで標準では、JRCの2114という品番がついていますね。

これは、国内の新日本無線のNJM2114Dというオペアンプでメーカーでは、ハイファイオーディオ用とうたっているものです。

オペアンプが2個内臓されてますので、写真のように1個でステレオ2チャンネルの対応ができます。

オーディオ用に開発されているので、データーシートにはオーディオ帯域の歪み(全高調波歪率)が1KHz 0.0005%と表記されています。

また、電源電圧範囲は、±3V~±22Vですが、LV-2.0では±12Vの電源で使用しています。

LV-2.0のプリアンプは、反転入力バッファーとして回路構成されていて、設計上のGainは0dBとなっています。(増幅無しゲイン1倍)

それでは、今回用意したオペアンプを紹介しましょう。

 

メーカー品番アンプ数動作電源電圧パッケージ
1 JRC NJM2068D 2 8-36V DIP8
2 JRC NJM4580D 2 4-36V DIP8
3 ADI OP275GPZ 2 9-44V DIP8
4 TI OPA2134PA 2 5-36V DIP8
5 LT LT1028CN8 1 9-36V DIP8
6 LT LT1128CN8 1 9-36V DIP8
7 TI LME49710NANOPB 1 5-34V DIP8
8 ADI AD797ANZ 1 10-36V DIP8
9 ADI AD843KNZ 1 9-36V DIP8
10 TI OPA2140AIDR 2 4.5-36V SOIC
11 TI LME49721MA 2 2.2-5.5V SOIC
12 TI OPA2365AID 2 2.2-5.5V SOIC

ここに紹介する以外にも多くのオペアンプがありますが、今回はオーディオ用オペアンプとして定番的なものを主体にどれも入手可能なものを選択しました。

また、例えば同じLT1028でもLT1028CN8LT1028ACN8と違う品番で値段も違うものがあったりします。これはスペックの違いで選別品などになっています。

ここでは、あえて一般品を選択していますが選別品と音質が違うという人もいるようです。

TIは、いろんなメーカーを買収しているのでLMEはナショセミ、OPAはバーブラウンのオペアンプです。

パッケージを見るとTI以外のロゴが印刷されていたりします。

価格もバラエティに富んでいて一番安いのが2個入り110円一番高いのは1個入りで1,350円ですからその差は20倍以上開きがあります。

もっとも高くても2個3,000円でおつりが来るのですから、怪しいケーブルなんかよりよっぽど投資しがいがあると私は思います。

実はマニアでは有名なOPA627(1個入)というオペアンプがあるのですが、価格が高いので、コストパフォーマンスを考えて選択してません。

投資対効果を考えるとちょっと躊躇してしまいます。興味のある方は使ってみてください。

前回ご紹介したカップリングコンデンサーもそうですが、直接こうした電気部品を交換するほうが、低価格で大きな効果が得られます。

今回出てきたオペアンプはこちらになります。

 

TYPE-I

★左上から NJM2068D,NJM4580D,OP275, 下がOPA2134PA ロゴマークがBB(バーブラウン)になってますね。

これらのオペアンプはプリアンプに搭載されているNJM2114Dと同じ2個入りのDIPパッケージですし、動作電圧も
LV-2.0のプリアンプの±12V(24V)以上ありますのでそのまま差し替える事ができます。

 

TYPE-II

★左上より LT1028,LT1128,LME49710 左下から AD797,AD843となります。

これらのオペアンプの特徴は、LME以外は価格が高いってことだけではありません。

動作電圧も問題ないのですが、オペアンプが1個しか搭載されてないのです。従ってステレオに対応するには2個必要になります。

価格が高い上に2個も必要なのですから音質はきっと良いはず...自分の耳で確認してみてください。

2個入りのオペアンプに1個入りで対応させるために一工夫必要ですすので、後で説明します。

 

TYPE-III

★左から OPA2140A,NJM4580です。今度は違う形のパッケージになりました。4580は比較のために置いただけです。

これはSOICパッケージと言われるタイプで4580のようなDIPタイプが無いものもあります。

こうしたパッケージをDIPタイプに変換する基板(写真上)がありますので、これを使用します。これも後で説明します。

 

TYPE-IV

★左からLME49721,OPA2365です。このオペアンプはOPA2140と同じくレールツーレールという電源電圧まで入出力電圧が動作できるものです。

OPA2140との違いは、動作電源電圧が2.2-5.5Vと低いのが特徴です。低い電圧で電圧いっぱいまで入出力が可能なので、電池駆動などに適しています。

ポータブルプレーヤーやヘッドホンアンプなどに採用されてるものです。

だから大きいDIPタイプはありません。

このタイプはこのままでは、LV-2.0のプリアンプには使用できません。電源の変更が必要になりますので注意してください。

 

オペアンプの取り付け方法

TYPE-I

これらのオペアンプは、そのまま付け替えられますので簡単ですね。

LV-2.0のプリアンプはソケットになっているのでピンセットなどで、ゆっくりと持ち上げて抜き差ししてください。

電源を切ってから電圧が下がるまで少し待ってから作業してください。

オペアンプを壊さないためにもテスターで確認するぐらいの慎重さが大切です。

LV-2.0(Premium)で確認したところ数十mVまで下がるのに10秒程度必要でした。

 

TYPE-II

1個入りのオペアンプを2個入りのオペアンプに対応させるためには、変換基板が必要になります。

DIPシングルオペアンプデュアル変換  MOPAMP-DIPS-DIPD

 

そんなに難しい回路では無いのでユニバーサル基板(万能基板)で作成してみました。

★こんな感じに切断します。

 

8ピンのソケット2個と接続用ピンを用意します。

DIP8ピン接続用  WDIP-PIN8

DIP8ソケット 21218NE

 

★このように作成すれば完成です。

配線は、DataSheetを確認してください。ピン配置は以下のようになっています。

2個入  1.out(1) 2.IN-(1) 3.IN+(1) 4.V- 5.IN+(2) 6.IN-(2) 7.out(2) 8.V+

1個入    2.IN- 3.IN+ 4.V- 6.out 7.V+

 

TYPE-III

大きさが違いますのでこれも変換基板が必要です。面実装タイプなので出来合いの基板を利用します。

SOIC-DIP8 変換基板 MSOIC&MSOP-DIPD-8*10

DIP8ピン接続用        WDIP-PIN8

ソケットに挿すために接続用ピンも必要です。

 

 

TYPE-IV

こちらも面実装タイプなので、TYPE-IIIと同じ処理が必要です。

 

3 オペアンプ使用上の注意点

いろいろなオペアンプを紹介しましたが、使用する際に注意しなければならない点があります。

データーシートのアプリケーション情報などに、使用方法が詳しく書かれている場合がありますのでよく読んでみましょう。

例えば、LT1028をLV-2.0の回路のまま使用するとどうなるか、シミュレーションしてみました。

これは、1KHzを入力した時の波形ですが、すごいことになってますね。 これは、超高域での位相が反転してしまうために発振してしまっている状態です。

アプリケーション情報などにあるようにフィードバックに位相補償のためのコンデンサー(47pF)を入れてみましょう。

シミュレーション回路は以下のようにしています。右側の回路に47pF(C7)を追加してあります。

 

47pFを入れるとPreout2(青線)のように発振が止まりました。

その違いを周波数特性で見ると違いが良く分かります。

点線が位相のカーブですが、位相補正コンデンサーをつけないと、3MHz付近で、位相が反転して周波数特性もピークが出来る事がわかります。

ちなみにLT1128でも同じ傾向です。これらのオペアンプを使用する場合は位相補償は必須ですね。

 

 

シミュレーションによると、発振周波数は1KHzのときに1MHz程度なので耳には聞こえないのですが、実機で確認すると、発振のためにオペアンプの温度が上昇したり、異常な発振がどこかでビートを発生して音になって聞こえたりしてしまいます。

実際にコンデンサー無しでLT1028を動作させていたら、ピーと、発振してしまいました。

周波数特性を見ても、100KHz以上で、ゲインが落ちていますから、この位相補償のコンデンサーはつけっぱなしにしても問題無いと思います。

 

LV-2.0のプリアンプの回路図上では、R57とR5847pFをパラって付ければよいと思います。

今回は、このマイカコンデンサーを使用してみました。  CY-DC500V47PF

 

 

【注意】 
ここに示した位相補償の例は、LV-2.0のプリアンプに対しての検討内容ですので、オペアンプの使用方法が非反転アンプの場合は対策方法が変わってきます。
入力や出力にフィルターを入れる必要がある場合も出てきます。

 

4 オペアンプを交換したときの様子

TYPE-Iの場合は何も変わりません。上の写真では、OP275を取り付けています。

TYPE-IIの場合は2倍の大きさになるのでこのような感じになります。(ここではLME49710を使用しています。)

TYPE-IIIを取り付けた場合です。(OPA2140を使用しています。)

 

5 音質確認

それでは、実際にオペアンプを交換して音質を確認してみましょう。

音質をチェックするには、ソースの音源も大切です。自分の良く聴くジャンルから1,2曲選んで聞き比べするのが良いと思います。

私の場合は、ボーカルと、金属的な鐘の音が入っているもので比較したところ、違いが良くわかりました。

 

6 裏技

あまり、音質チェックを続けていると良いのか悪いのか分からなくなってしまうことも良くあります。

一度に5種類とかチェックすると聞く人間が疲れてしまいます。

休憩しながら、2種類を比較してみるのが良いと思います。

それでも、なんだかよくわからなくなった時の裏技をお教えします。

以前もお話ししたように音が直接通過する場所の部品を変更するのが一番変化が大きいと言いました。

カップリングコンデンサーやオペアンプはまさに音の通り道です。

しかし、回路を良く見るとこれ以外にもいろいろと部品が付いています。

LV-2.0のプリアンプの場合は、入力された音楽信号はまずアナログSWというICに入ります。

これは、セレクターです。INPUT1,2 とかを電子的に切り替えているものです。

次にボリュームを通ります。これは電子ボリュームと呼ばれているICで、まさにボリュームを変えるものです。

で、その後にカップリングコンデンサーを通して今回紹介したオペアンプを通って、またカップリングコンデンサーを通ってやっと、アンプへのコネクターにつながります。

LVのように単純なアンプでさえ、このように数多くのICやコンデンサーを通りますので、音質が変化するのは
その影響度の大小はあれど当然のこととなるわけです。

アンプの設計屋は、これらのバランスを考えながら(もちろんコストも)最適な部品を選定しているのです。

 

そこで、試して頂きたいのは、これらの通り道を全てパスした音を聴くことです。

以下に紹介する方法は、パワーアンプだけを使用しますので、スピーカーを必ず最後に接続するなど、
慎重に作業しないといきなり大音量が出たり、スピーカーを破壊してしまう可能性もありますので注意してください。

まず、PCコントロールのUSB-DACのように出力が可変できるものを準備してください。

次にパワーアンプが単独で動作するように、プロテクションの設定をします。

 

★写真の赤丸の部分をハンダ付けしてショートさせると、コントロール基板からのコントロール無しでアンプが動作します。

 

次に入力端子RCAピンジャックと、アンプの入力2ピンコネクターを接続したケーブルを作成して取り付けます。

 

手順は、次のとおりです。

 ①まずスピーカー端子からスピーカーははずしておきます。

 ②RCAにUSB-DACなどの出力を接続します。

 ③USB-DACの出力をミニマムにしておきます。

 ④アンプの電源を入れます。

 ⑤ショートさせないようにスピーカーを接続します。(バナナプラグですと便利です。)

 ⑥USB-DACで音楽を再生し、徐々にボリュームを上げます。

 

どうでしょうか? おそらく全く違う音が出てきたのではないでしょうか?

実際にはアンプの入力インピーダンスが低いので、USB-DACの出力との関係が多少ありますが、
音質的に大きく違うことは無いと思います。

この音に近づけるように、カップリングコンデンサーやオペアンプを選択してみるのも良いかもしれません。

パワーアンプに直接入力は危険な行為ですのでくれぐれも慎重にお願いします。

はずす手順は次の通りです。

 ①USB-DACのボリュームをミニマムにする。

 ②スピーカーケーブルをはずす。

 ③アンプの電源を切る。

今回は以上で終わります。 オペアンプによる音質の違いを楽しんでみてください。

 

7 補足

実際にオペアンプを搭載した時の波形を観測してみました。

では、オリジナルのプリアンプにLT1028(2個)を接続して波形を見てみます。

LT1028

このように、シミュレーションと同様に発振していることが観測されます。

LT1028 周波数

この周波数は、900KHz(約1MHz)であることがわかります。

では、47pFのコンデンサーを付けてみてみましょう。

LT1028 47pF

 

このように発振は収束して、原信号の波形が観測できます。

各種オペアンプを47pFのコンデンサー無し(オリジナルの状態)で測定しました。

1.NJM2114 2.NJM2068

 

3.NJM4580

  4.OPA2134

 

5.OP275 6.uPC812

 

7.LM5172 8.MUSE8820

 

 9.LT1028 10.LT1128

 

11.LME49710 12.AD797

 

13.AD843 14.OPA2140

 

LT1028,LT1128,AD797の3種類のオペアンプが発振していることがわかります。

では、発振したオペアンプを47pFを付けた状態で測定してみましょう。

9.LT1028 +47pF 10.LT1128 +47pF

 

12.AD797 +47pF

 

以上のように全て正常な波形になります。

 

 

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