2015年10月01日

デバイス

MOSFETによるスイッチングの基礎


パワーMOS FET

スイッチング素子
としてはトランジスタまたはMOSFETなどがありますが、近年は「パワーMOS-FET」が主流になってきています。

特に
大電力用のMOSFETをパワーMOS FETと言い、簡単にマイコンまたはデジタル回路と接続(インターフェース)できる製品もあります。
そこで、パワーMOS FETの簡単な使い方と製品を紹介します。


主な製品一覧


表2 Pチャネル

型番メーカー駆動VDSS(V)ID(A)DC/パルスPD(W)パッケージ
2SJ304(F) 東芝 4V 60 14A/56A 40 SC-67(TO-220)
2SJ334 東芝 4V 60 30A/120A 45 SC-67(TO-220)
2SJ349 東芝 4V 60 20A/80A 45 SC-67(TO-220)
2SJ380 東芝 4V 100 12/48 35 SC-67(TO-220)
2SJ387(L) ルネサス 2.5V 20 40(パルス) 20 DPAK
2SJ401 東芝 4V 60 20A/80A 100 2-10S1B
2SJ407(F) 東芝 4V 200 5A/20A 30 SC-67(TO-220)
2SJ412(Q) 東芝 4V 100 16A/64A 60 2-10S1B
2SJ439TE16L 東芝 2.5V 16 5A/20A 20 2-7S1B
2SJ512(F) 東芝 汎用 250 5A/20A 30 SC-67(TO-220)

2SJ529(L)
ルネサス 4V 60 10A 20 DPAK
2SJ537(Q) 東芝 汎用 50 5A/15A 0.9 TO-92MOD


駆動の「汎用」は低電圧駆動以外の10V駆動など


詳細は各メーカーのデータシートを参照


表3 Nチャネル

型番メーカー駆動VDSS(V)ID(A)DC/パルスPD(W)パッケージ

2SK1381
東芝 4V 100 50A/200A 150 SC-65
2SK1382(Q) 東芝 4V 100 60A/240A 200 2-21F1B
2SK2173(F) 東芝 4V 60 50A/200A 125 SC-65
2SK2201(Q) 東芝 4V 100 3A/12A 20 SC-64
2SK2232(F) 東芝 4V 60 25A/100A 35 SC-67(TO-220)

2SK2233
東芝 4V 60 45A/180A 100 SC-65(2-16C1B)

2SK2267(Q)
東芝 4V 60 60A/240A 150 2-21F1B
2SK2312 東芝 4V 60 45A/180A 45 SC-67(TO-220)

2SK2313
東芝 4V 60 60A/240A 150 SC-65(2-16C1B)
2SK2329(L) ルネサス 2.5V 30 10A 20 DPAK

2SK2267(Q)
東芝 4V 60 45A/180A 100 2-10S1B
2SK2382(Q) 東芝 汎用 200 15A/45A 45 SC-67(TO-220)
2SK2391 東芝 4V 100 20A/80A 35 SC-67(TO-220)
2SK2493 東芝 2.5V 16 5A/20A 20 SC-64
2SK2508(F) 東芝 汎用 250 13A/52A 45 SC-67(TO-220)
2SK2614 東芝 4V 50 20A/50A 40 SC-64
2SK2662 東芝 汎用 500 5A/20A 35 SC-67(TO-220)
2SK2679(Q) 東芝 汎用 400 5.5/22 35 SC-67(TO-220)
2SK2698F 東芝 汎用 500 15A/60A 150 SC-65(2-16C1B)
2SK2789(Q) 東芝 4V 100 27A/108A 60 2-10S1B
2SK2886(F) 東芝 汎用 50 45A/135A 40 SC-67(TO-220)
2SK2917(F) 東芝 汎用 500 18/72 90 2-16F1B
2SK2925(L) ルネサス 4V 60 10A 20 DPAK

2SK2953(F)
東芝 汎用 600 15A/60A 90 2-16F1B
2SK2961(F) 東芝 汎用 60 2A/6A 0.9 TO-92MOD
2SK2962(F) 東芝 4V 100 1A/3A 0.9 TO-92MOD

2SK2968(F)
東芝 汎用 900 10A/30A 150 SC-65(2-16C1B)
2SK2989(F) 東芝 汎用 50 5A/15A 0.9 TO-92MOD
2SK2995(F) 東芝 汎用 250 30A/120A 90 2-16F1B

2SK3176(F)
東芝 汎用 200 30A/120A 150 SC-65(2-16C1B)

2SK3314(Q)
東芝 汎用 500 15A/60A 150 SC-65(2-16C1B)
2SK3453(F) 東芝 汎用 700 10A/30A 80 2-16F1B

IRF540ZPBF
IR 汎用 100 36A 92 TO-220

IRF8010PBF
IR 汎用 100 80A 260 TO-220

IRFB23N15DPBF
IR 汎用 150 23A 136 TO-220

IRFB33N15DPBF
IR 汎用 150 33A 170 TO-220

IRFB38N20DPBF
IR 汎用 200 44A 320 TO-220

IRFB52N15DPBF
IR 汎用 150 60A/240A 320 TO-220

IRFB4020PBF
IR 汎用 200 18A 100 TO-220

IRFIZ24EPBF
IR 汎用 60 14A 29 TO-220

IRFIZ24NPBF
IR 汎用 55 14A 29 TO-220

IRFIZ34EPBF
IR 汎用 60 21A 37 TO-220


MOS FETの特性

★ゲートしきい値電圧


パワーMOS FET(以下、MOS FETと呼ぶ)は図1のように
「エンハンスメント特性」

です。

つまり、
ゲート・ソース間電圧VGSを大きくするに従いドレイン電流IDも増加

します。


この特性でドレイン電流が流れはじめるゲート・ソース間電圧を「ゲートしきい値電圧」と言います。


(流れはじめるドレイン電流値は例えば、1mAまたは10mAなどと規定する)


したがって、
ゲート・ソース間(VGS)にゲートしきい値電圧より十分小さいものを印加すれば、ドレイン電流は非常に小さくなりますので、スイッチ的に「OFF」です。


また、
ゲートしきい値電圧より十分大きな電圧を印加すれば大きなドレイン電流が流れることになりますので、これはスイッチ的に見れば「ON」です。 


このように
VGSにデジタル的な2値の電圧を印加すればMOSFETをスイッチ素子として 用いることが出来ます。


例えば図2のようにVGSを0Vまたはゲートしきい値電圧より十分大きい電圧を印加すれば

LEDの消灯/点灯を行うことが出来ます。


ゲートしきい値電圧はデータシートの「電気的特性」の項目の1つで、 半導体メーカーにより若干の項目名、記号が異なります。


表1に主なメーカーでの項目名、記号を示します。


表1 ゲートしきい値電圧  (各データシートから抜粋)



他に「ゲートカットオフ電圧」などの表現がある 


★トランジスタとの比較


図3に
スイッチとして用いた場合のトランジスタとMOS-FETの

の違いを示します。


スイッチONの場合、トランジスタはコレクタ・エミッタ間の電圧はゼロではなく、
なんらかの電圧が残り、これをコレクタ飽和電圧VCE(sat)と言い、この時のコレクタ電流との掛け算がコレクタ損失Pcで、この電力はトランジスタ自身が消費し熱となります。

(オームの法則 P = V × I )


これに対し
MOS-FETの場合、ドレーン・ソース間電圧はわずかで、飽和電圧のかわりにドレイン・ソース間オン抵抗RDS(ON)で表わします。


RDS(ON)はMOS FET自身の抵抗ですからこの時にMOS FETが消費する電力PDは この抵抗にドレイン電流の2乗を掛け算したものになります。


(オームの法則 P = R × I × I )


ドレイン・ソース間オン抵抗は数ΩからミリΩ単位のものになり、同じ消費電流(コレクタ電流、ドレイン電流)でもMOS FETのほうが消費電力が少なく、場合によっては放熱器が不要になります。


このようにMOS FETは放熱の点で有利で、また、
スイッチのON/OFFに要する時間はトランジスタと比較して速いのも特徴の1つです。



MOS FETの駆動回路

ここではLED点滅などの比較的スイッチングスピードの遅い回路を対象とした駆動回路例を紹介します。


★Nチャネルの場合


極性的にはトランジスタのNPNに相当
します。


図4のようにゲートしきい値電圧より十分大きく、また、十分なドレイン電流が流れるような
電圧を印加すればONします。

この場合、デジタル的に考えればINとOUTの論理は反転し、電流は
「Vcc→RL→ドレイン→ソース→GND」と流れ、このようなものを「シンク駆動」と言います。


図5はデジタル回路(マイコン等)から駆動する例です。


MOS FETをONするための電圧が5V系では駆動できない場合、トランジスタ等を用いて
十分大きな電圧に変換しています。


★Pチャネルの場合


極性的にはトランジスタのPNPに相当します。


図6に基本形を示します。


Nチャネルと同様にゲート・ソース間しきい値電圧Vthに対して十分大きいか小さな電圧を印加しますが、
電位的にPチャネルはソースよりゲートのほうが低くなった場合にONです。また、ソースとゲートが同電位でOFFです。


図7はデジタル回路(マイコン等)から駆動する例です。


これも図5と同様にトランジスタにより電圧変換を行いますが、トランジスタがOFFの場合、
ゲート・ソース間電圧は同電位になりますので、これによりMOS FETはOFFになります。


図8はマイコンを用いた鉛蓄電池の充電回路例です。


鉛蓄電池の充電電圧をADにて監視し、ポート出力でQ1を制御します。


★4V駆動などの低電圧駆動MOS FETを用いる


一般的なMOS FETの制御はVthより十分大きな電圧が必要になりますが図9のように


「4V駆動」、「2.5V駆動」、「1.5V駆動」などのMOS FETがあり、これを「低電圧駆動品(素子)」


と言います。これは
一般的なMOSFETの特性よりVthの値を下げてデジタル回路から直接駆動(インターフェース)できるものです。


図10に4V駆動 MOS FETを用いた5V系デジタル回路との回路例を示します。


データシートの簡単な見方

LED駆動などの低速スイッチで用いる場合に着目する主な項目について説明します。


特に
「最大定格」はいかなる条件でも超えてはならない限界値

です。


★ドレイン・ソース間電圧VDSS (最大定格)


ドレイン・ソース間に印加可能な最大電圧。(耐圧)


★ゲート・ソース間電圧VGSS  (最大定格)


ゲート・ソース間に印加可能な最大電圧。


低電圧駆動品ほど低い値なので注意。


★ドレイン電流  (最大定格)


連続動作(直流)およびパルス動作時で規定。


連続動作時はIDなどの記号、パルス動作時はIDPまたはID(pulse)などの記号。


★許容損失PD  (最大定格)


MOS FET自身が消費できる最大電力。


同じ意味で「許容チャネル損失Pch」、「全損失PT(Total Power Dissipation)」


などの項目名、記号。


この最大電力は基本的にMOS FETのケース温度が25℃の条件(状態)での値。


★ドレイン・ソース間オン抵抗


スイッチON時のドレイン・ソース間の抵抗。


これにドレイン電流の2乗と掛け算したものがMOS FETの電力。


オン抵抗はゲート・ソース間電圧が大きいほど小さくなり、また、ケース温度が
高くなるほどオン抵抗は大きくなる。(図11、図12)

また、ドレイン・ソース間電圧の低い品種(素子)ほど小さいので必要以上に
耐圧の高い品種を選ばないほうが許容損失の点で有利。



MOS FETの選定

MOS FETの選定を簡単にまとめると次のようになります。


★必要以上にドレイン・ソース間電圧VDSSの高いものにしない
★デジタルとの接続は低電圧駆動(4V、2.5Vなど)を用いるとインターフェースが楽
★ノイズが多い場合は低電圧駆動ではなく、ゲートしきい値電圧Vthの高いものにして大き目の電圧で駆動する

図13
 

四角形 四角形 四角形 四角形 2SK2233 2SK2789 2SK2925

図14

2SJ401 2SJ529

図15

2SK2698 2SK2917 2SK2953 2SK3314 2SK2968

図16 

IRF8010PBF IRFB52N15DPBF 2SK2886 IRFB38N20DPBF IRF540ZPBF IRFB33N15DPBF 2SK2995 IRFIZ34EPBF IRFB23N15DPBF IRFIZ34EPBF IRFB23N15DPBF 2SK3176 2SK2995 IRFIZ24EPBF IRFIZ24NPBF IRFB4020PBF 2SK2989 2SK2961


J-FETでの増幅

MOS-FETでの増幅

MOS-FETによるスイッチングの基礎

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