オーディオ
LV-2.0 シリーズ音質改善
今回は、LV-2.0シリーズの音質改善について紹介したいと思います。
音質については、ネットでもさまざまな話が載っていていろいろ迷う事も多いと思いますが、たしかに部品を換えると音は変化します。
それが劇的に変化したり、音が良くなったというのは、あくまでその人の意見ですから、最後は実際に自分の耳で確認する必要があります。
音質というのは、回路や確認する音楽ソースや試聴環境、はたまた聴く人の状態によっても変化しますので、メーカーや他人の意見はほどほどにして最後は自分でしっかり確認しましょう。
確かに部品を換えると音は変化しますが、高い部品が音が良いとは限りませんし、金額に対して効果は?となるのが多いのもオーディオの世界です。
自分で音の違いを確認する上でも、今回の音質改善方法は、安い部品で効果の高いものを中心に紹介したいと思います。
こうした改造に必要な工具とその使い方を紹介しています。 制作時の参考にしてください。
・ 電子工作に必要な工具の種類と使い方 【ハンダ付け編】 【ワイヤー処理編】 【測定編】 【穴あけ編】
1.LV-2.0 プリアンプ基板
音質の変化が大きいのは、直接音が通過するカップリングコンデンサーと呼ばれているものです。
LV-2.0のプリアンプには、スイッチの後段、オペアンプの後段に2箇所入っています。(C53,C54,C55,C56)
C53,C54 日本ケミコン 22μF/50V SMGシリーズ ESMG500ELL220ME11D
C55,C56 日本ケミコン 100μF/25V SMGシリーズ ESMG250ELL101MF11D
日本ケミコンのSMGシリーズは、汎用品ですが安定した性能が評価され音質も良い評価されているものです。
ここでは、メーカーの違う電解コンデンサーを選んでみました。
ニチコンではMUSEシリーズと呼ばれていて、オーディオ用のコンデンサーとして開発されたそうです。
巷の評価も結構高いですが、SMGとどう違うのか確認してみましょう。
1個100円程度ですから、気軽に試すことができますね。1mウン千円もするケーブルなんかより遥かに効果があります。
と、ここで、22μF/50Vが同じ値なのにニチコンのは巨大なことに気がつきました。
100μ Fは、耐圧が違うので大きいですが、22μFはふたまわりぐらい大きいので同じサイズの10μFにしました。
このほうがつけやすいですね。
ところで、容量が22μF から10μF に変更すると、低域の周波数特性が変わってしまいます。
シミュレーションしてみました。
黒線(PreOUT)が22μFのとき、青線(PreOUT2)が10μFのときの周波数特性です。10Hz以下が微妙に下がっていますが、音には関係ない領域ですし、数dBの差ですから問題ありません。
容量によっても音質は変わりますから、大きい22μFも試してみるのも良いと思います。
※基板からコンデンサーをはずします。はずし方は、ハンダを少しもってやって、両方を暖めながら引き抜くと抜きやすいです。
その後は、ハンダ吸引器で穴の中のハンダを吸出します。
※100μFは、足(リード)を曲げてちょっと強引につけました。
プリアンプの音質改善第2段は、オペアンプです。写真を見てわかるようにオペアンプはソケットになっているので、交換は非常に楽です。
全体を組み上げたあとで、試聴と交換を繰り返すことができます。
さて、交換用のオペアンプですが、このプリアンプは、オペアンプの電源に±12Vを使用しています。
従って、低電圧駆動タイプでなければ、一般的には36V(±18V)以上の耐圧があるので問題なく使用できると思います。
オペアンプの詳細な使用方法は、LV-2.0シリーズ音質改善その2で詳しく説明しています。
こちらを参照してください。
2.LV-2.0 USB-DAC基板
次にUSB-DAC基板です。これにもオペアンプがたくさんついていますが、4個入りとか特殊なタイプも使用しているので、通常の2個入りLME49720だけを交換してもあまり面白くありませんから、ここでもカップリングコンデンサーを交換してみます。
※カップリングコンデンサーは、C29、C30で日本ケミコンの100μF/16V SMGシリーズを使用しています。
※シルクが無いと思ったら、部品の下に隠れてました。
ここは、ニチコンの100μF を使ってみます。
※巨大なサイズなので、リードをショートしないように折り曲げて強引につけました。
3.LV-2.0 PowerAMP基板
パワーアンプ基板にも入力にカップリングコンデンサーがついています。これも換えてみましょう。
パワーアンプのカップリングコンデンサーはC1,C2の10μF/50V のSMGシリーズが搭載されています。
これに変更します。
※同じサイズなので交換は楽です。
4.アナログ信号線をシールドワイヤーに変更
LV-2.0は、信号ラインが普通のコネクター、ワイヤーで接続されています。
剥き出しのワイヤーは、ノイズの影響を受けやすいのでシールド線に変更してみます。
※本当は、L-CHとR-CH別々のシールド線が良いです。このように2芯のシールド線でも赤白をまとめてチャンネルごとにもできます。
※プリアンプ基板側もハンダづけしてしまうほうが良いですが、今回はとりあえずコネクターに接続してみました。
5.試聴
さあ、これで完成です。音を聴いてみましょう。
一度に変更するのではなく、少しづつ変更して効果を確認するのも面白いですね。
また、シールド線をチャンネル別にわけて見るのもいいでしょう。
オペアンプも購入された方は、プリアンプのオペアンプは交換しやすいですから、いろいろためしてみてください。
<ワンポイントアドバイス>
音質に影響するのは、電源の方向もあります。これも、セットによっては、大きな差が出ることがあります。
普段なにげなく挿しているコンセントも向きを変えて試聴してみてください。
電源の向きは、テスターがあれば簡単に確認する事ができます。
1.まずコンセントのアース側を確認しましょう。普通は、コンセントの縦の長さが違っていて、長い方がアース側ですが、電気工事屋さんがいい加減だと違ってる場合もあるので確認します。
私が以前いた会社では、逆に工事されていて、それがわかるまで測定がまともに出来なくて苦労しました。
測定器などは、電源のアースに対して非常にシビアに反応します(ノイズレベルが変化)。
音が変わる要因も同じかも知れません。
テスターをAC電圧モードにして、片方を手でつまんで、もう片方をコンセントの穴に差込みます。
2つの穴の電圧の低いほうがアース側です。
2.次にアンプのプラグの向きを確認しましょう。
まず、アンプに接続しているコードは全てはずします。
テスターをAC電圧モードにして、片方を手でつまんで、もう片方をアンプのシャーシ(GND)に接続します。
GND端子が無い場合は、RCA入力端子の外側に接続すればOKです。
この時、スピーカーのGND端子には接続しないでください。アンプの方式によっては、スピーカー端子がGNDでない場合があります。
プラグを差し替えて電圧の低いほうが、正しい向きになります。
3.正しいプラグの方向が決まったら、コンセントのアース側と同じ方向のプラグの側面に記しをつけておきましょう。
こうすれば、はずしてしまった時もすぐに正しい向きに差すことができます。
他のオーディオ機器も電源がついているものであれば、全て確認してみてください。
きちんと揃えたときと逆の場合の音を試聴してみるのも面白いと思います。