2015年04月03日

資料・技術情報

ラジカセの再利用

ラジカセ

筆者はよく地元のリサイクルショップを利用します。
おもに、レコード、ラジオ、ラジカセなどが目的です。ラジカセは現在でも販売されていますが、特に1970年代と1980年代のものを中心に探しています。
写真1に筆者のコレクションを示します。

 

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④は1970年代にBCLが流行ったころのSONYのスカイセンサーです。

購入したリサイクルショップでは、なぜかキャッチコピーの印刷物が貼られて目につき やすい場所に置かれていました。
キャリングケースと純正のACアダプタが付属になっていましたので、見つけたその日に購入しています。正確な購入価格は忘れましたが、5000円くらいだったのではないかと思います。

②は今でも値札シールが貼ったままで、420円です。

③以外はすべて完動品です。
③は片チャンネルから音が出ないということで価格がかなり安く、修理できるかもしれないという思いで購入しました。
購入後、中を開けて基板を指で押していくと出なかった片チャンネルから音が出ます。

結局、ヘッドホンジャック部のパターンがめくれあがって接触不良を起こしていました。
これはラッキーでした。機能はカセット、CD、ラジオのすべてがよみがえり特にラジオ部はシンセサイザ方式のメモリ機能付ですから重宝していました。
現在はカセットのメカが故障しています。

最近、カセットテープを見かける機会が少なくなりました。
あらためて、カセットテープを紹介するのもおかしな話ですが、写真2に示します。
音楽ではなく、おもにAMラジオの落語番組を録音して聞いています。
写真2のテープは録音日が1994年2月5日となっています。
音楽はカセットデッキにメタルテープを用いて録音していましが、今ではカセットデッキもなく、テープも行方不明です。フェリクロームテープという言葉を思い出しました。

 

写真2 カセットテープ
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ノーマルテープに落語番組を録音している。

ラジカセ、ラジオ以外では中古レコードを良く購入します。
先日、友人が遊びにきた時に古いLPレコードの値札シールを見てびっくりしていました。筆者がリサイクルショップで購入した価格は105円です。
この歌手(古い言い方です)の特定のLPレコードに帯があると、オークションなどでは1万円くらいするそうで、筆者が105円で購入したものにも帯が付いています。
価値がまったく分かりません。

レコードを聞くためにはレコードプレーヤが必要です。これもリサイクルショップで購入するのですが、失敗したことがあります。
状態の良さそうなレコードプレーヤを手ごろな価格で購入したのは良いのですが、プレーヤのカバーを開けると強烈なタバコ臭です。筆者はタバコを吸う人なのですが、これには耐えられません。結局、数か月後には購入したリサイクルショップへ売却し、これを元に別なレコードプレーヤを購入しています。
それ以来、中古品は外観よりも「タバコ臭くないか」に気を付けています。

だんだんと、コレクション自慢気味になってきました。
本題に入ります。

リサイクル品も故障した時、処分に困ります。
写真3のラジカセは購入した時からカセット部は不動でした。スピーカが大きく、音がよさそうなのでラジオ受信用として購入したものです。ラジオはAM放送のほうが好きで、音は気にいっています。
写真1の①と同じナショナル製で、こちらの型番のほうが若い番号です。
ただし、現在は時々の接触不良などがあり、使用していません。

 

写真3 故障したラジカセ
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スピーカを利用することを思いつく

このまま捨てるにはもったいないです。
音が気に入っていたので、せめてスピーカ部のみでも再利用できないかと考えていたのですが、内部のメカと基板はすべて取り出して、別なアンプを内蔵してはどうかと思いつきました(図1)
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内部を開けた状態を写真4に示します。

 

 

写真4 内部の様子

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スピーカは10cmくらいのものと小さなツイータが付いています。
メカ部はすごく汚く触る気にもなりません。とりあえず、ブラシで汚れ、ホコリを払い、基板を眺めます。
スピーカアンプICらしきものがあるので、文字を見るとTA7207と読め、知らない型番です。古い半導体の規格表は何冊か所有しているので調べてみるとCQ出版社の「最新リニヤIC規格表」の80年版に概要が掲載されています。
古い規格表は捨てられません。
「ポータブル用カセットテープレコーダに最適」と表現されています。
定格出力は0.95W(Vcc=6V,RL=4Ω)です。スピーカの表示を見ると3Ωと刻印されていますので、1Wくらいの出力が得られるのかもしれません。
当初、スピーカアンプ部は別なICを考えていたのですが、元々、音は鳴りますし、ICの仕様(概要)も規格表で分かりましたので、そのままスピーカアンプICも利用してはどうかと思いつきました。

 

 

 

構想

 

写真5にメカと基板を取り外した状態を示します。
水で丸洗いしています。
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画像写真5のようにケースには元々のボリューム類、ジャック類の穴が開いています。
これらを利用すれば必要なジャック、ボリュームも取付できそうです。
オリジナルではAC100Vからトランスを用いてDCに変換しています。
乾電池でも動作しますが、電池金具の腐食が激しく、これは使えそうにありません。
トランス部は使えそうに見えます。しかし、30年以上経過していると思われますので、この部分の流用はやめて、スピーカアンプICのみを流用することにします。
写真6に基板から取り外したスピーカアンプTA7207Pを示します。
周辺部の部品がパラフィンで固定されているので、はんだコテの熱でパラフィンが溶けてしまい、型番が見えにくくなってしまいました。
電源は市販のACアダプタを用いることとし、製作したいアンプ構成を図2に示します。
元々、スピーカが1組(10cmとツィータ)とTA7207Pが1つですからモノラル構成です。
各種実験時での音だし用途です。このような用途のアンプはすでにいくつかあるのですが、大きなスピーカBOXに入ったものがなく、少し良い音で聞けたら良いと以前から思っていました。
入力はφ3.5モノラルジャックです。これとは別にステレオ信号に対して簡易的なステレオ→モノラル変換を設けることにより音楽も楽しめるようにします。

 

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ユニバーサル基板で製作

ACアダプタはどれを用いるか決まっていません。そこで、消費電流の確認も兼ねてユニバーサル基板でアンプ部を製作しました。
回路を図3に示します。
前述の規格表に掲載されている回路に若干、手を加えています。

 

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写真7に基板の様子を示します。

 

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動作確認の電源には市販の安定化電源を用い波形確認を行いました。
負荷(スピーカの替わり)は4Ωで、電源電圧6Vで波形クリップ寸前では0.95Wは
得られません。規格表では条件がKF = 10%となっています。この意味はひずみ率が10%時に出力0.95Wということです。今回は特にひずみ率を観測していないのですが、オシロスコープでの観測波形の具合から規定条件で0.95W得られると思います。消費電流は波形クリップ寸前で約200mAです。
規格表ではTA7207Pの電源電圧は以下のとおりです。
最大定格 10V
定格 6V
最低 4V


ACアダプタにはスイッチング方式、非安定化トランス方式、安定化トランス方式
などがあります。
6Vの固定出力(安定化)がベストですが消費電流は最大200mAですからそれほど大きくありません。そこで、市販の非安定化トランス方式が使えないか検討してみました。

非安定化トランス方式のACアダプタを用いる場合、電圧が合致していれば良いというものではありません。
非安定化トランス方式の場合、負荷電流値により出力電圧が変化します。
その特性の実測例を表1、グラフ1に示します。

このACアダプタの仕様は6V/300mAです。この意味は負荷電流値が300mAの時に出力電圧が6Vになるということです。例えば、AC100V入力時に負荷電流300mAで出力電圧がほぼ定格の6.22Vになりますが、0mAでは9.22Vとなって6Vよりかなり高い電圧になります。つまり、負荷電流の値により出力電圧が異なるということです。また、入力するAC電圧によっても変化します。

このように電圧値が合っていれば良いというわけではなく、非安定化ACアダプタの場合、「大は小を兼ねる」ことはできません。

 

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表2にグラフ1のACアダプタを用いた時の出力電圧の実測値を示します。

無入力でもICの消費電流がありますので、8.5Vです。この値はICの定格電圧範囲
内です。音楽入力時は音量ボリュームを上げて音がひずまない状態での出力電圧
が7.5Vでした。この結果により、グラフ1のACアダプタを用いることにします。

 

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組み込み

入力ジャックおよびDCジャックはケース右側面の穴を利用して取付ています。
運良く、リーマで穴を広げるだけで済んでいます。
音量ボリュームは元々の位置に取り付けています。

 

 

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写真9に内部の様子を示します。
ユニバーサル基板しかありません。基板の固定は元々のボスを利用しています。

 

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使用感

写真10のように実験時の音出し用途ではなく、音楽専用のアンプとして用いています。
簡易的なステレオ→モノラル変換を付けたのは正解でした。出てくる音はステレオではありませんが、なかなか気に入った音です。音量レベルも十分で、けっこう迫力があり、AMラジオでの音も聞いてみたくなりました。
ケース上面のメカ操作部は大きな角穴が開いたままで、この穴をふさぐと音が変わります。ふさいだ方が良さそうです。
ケースの中にはユニバーサル基板とスピーカのみですからすごく軽いです。
電池動作ができればさらに使い勝手の良いものになります。電池金具はサビが凄くこのまま使う気がないのですが、代用案が浮かびません。

 

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以上、リサイクル品を利用してアンプを製作しました。
ACアダプタは手持ちのもので、アンプ部も手持ち部品ですから、結局、今回の製作にかかった費用はゼロでした。
1970年代のおわりから1980年代のはじめにかけて図4のような大型スピーカを搭載したステレオラジカセが各電機メーカーから販売されていたと記憶しています。
筆者もこのような大型ラジカセを所有していたのですが、行方不明です。
カタログが残っていたので、寸法を見ると、586(幅)×310(高さ)×212(奥行)とあり、重量は7.5kg(電池含む)です。
テープはノーマル、クローム、メタル対応で出力5W+5Wとなっています。
このような大型タイプは当時の価格で高いものでは8万円くらいします。
どのような音がしたのか記憶にありません。もう一度、聞いてみたいものです。

 

 

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