PocketBeagleは、Octavo Systems社のOSD3358-SMを採用した超小型のシングルボードコンピュータです。OSD3358-SMは、テキサスインスツルメンツ(TI)社のAM3358を中心に、RAM、EEPROM、LDO(TL5209)、電源管理用IC(TPS65217C)を搭載したモジュール(System-in-Package)です。また、AM3358は、ARM Cortex-A8コアの32ビットRISCプロセッサで、オンチップメモリ、LCDコントローラ、SGX350グラフィックコントローラ、12ビットA/Dコンバータ、イーサネット、USB2.0、CAN、I2C、SPI、UARTなどを搭載しています。
PocketBeagleは、beagleboard.orgがWebブラウザ上で開発できるツールを公開しているので、開発ツールを用意する必要がなく初心者の入門用としても適しています。アナログ入力ができる点もメリットです。サイズは35mm×56mmで、Raspberry Pi Zeroとほぼ同じ大きさです。
●BeagleBoardについて BeagleBoardは、テキサスインスツルメンツ社が自社のOMAP3プロセッサの認知度を上げる目的でDigi-Key社と共同で開発したシングルボードコンピュータです。2008年に発売されましたが、当初よりオープンソースとして仕様が公開されています。
OMAP(Open Multimedia Applications Platform)は、テキサスインスツルメンツ社が開発したARMアーキテクチャのプロセッサコアと専用コプロセッサで構成された画像/ビデオ処理用プロセッサです。一時は、数多くのスマートホンやタブレットに採用されていましたが,価格競争に対抗できなかったためか、現在はスマートホン分野からは撤退し、OMAP5からは自動車搭載機器やIoTなどの組み込み用途に使用されるようになっています。
BeagleBoardは、2012年に登場したRaspberry Piと同じく、ARMコアを採用しLinuxが動作するという点で比較の対象になります。BeagleBoardのサイズは76.2mm×76.2mmとRaspberry Piよりも大きく価格も128ドルと少し高めでしたが、2011年に発売されたBeagleBoneは86.4mm× 53.4mmになり、価格も安くなっています。価格的にはRaspberry Piが有利とはいえ、登場した時期も早く、機能的には優れているといえるBeagleBoardですが、普及という点ではRaspberry Piとは大きな差がついてしまいました。その原因は明確ではありませんが、Raspberry Piが教育目的で登場したため、普及させるための動機や教材などに差があったためと考えられます。 しかしながら、BeagleBoardを普及させるための非営利団体BeagleBoard.org Foundationが設立されていてドキュメントや開発環境の充実が進められており、テキサスインスツルメンツ社からスピンアウトしてできたOctavo Systems社がBeagleBoard専用のプロセッサを開発しているので、BeagleBoardの今後に期待が高まります。
●PocketBeagleの主な仕様 ・SiP:OSD3358(Octavo Systems) ・CPU:ARM Cortex-A8(1GHz) ・RAM:512MB DDR3 ・EEPROM:4KB I2C ・PRU(プログラマブルリアルタイムユニット):32ビット200MHz×2 ・SGX350(PowerVR)グラフィックアクセラレータ ・microSDカードスロット ・microUSB-Bコネクタ:USB2.0 OTG ・アナログ入力×8 ・拡張機能:36ピンGPIO×2(ピンヘッダは含まれません)、I2C、SPI、UART、CAN ・電源:5V/2A ・サイズ:35×56mm
PocketBeagle(ポケットビーグル) 【BB-POCKET】 3,480円 |
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