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【アプリケーションラボ】技術解説「ヒューマン・セントリック照明システム(HCL)のための可変白色LEDの制御」

 「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。

 今回は、その中からHCLに関する解説記事
 ■ヒューマン・セントリック照明システム(HCL)のための可変白色LEDの制御
 の概要をご紹介します。

 ヒューマン・セントリックとはあまり聞き慣れない言葉ですが、人間主体という意味であり、機械に人間を合わせるのではなく、人の利便性に機械を合わせるという考え方です。特に、光が人間の生態に与える影響の研究が進んだことで、照明器具を人体にやさしくするヒューマン・セントリック・ライティング(HCL)が注目を集めています。

 太陽光は、人間の睡眠サイクルに重要な役割を果たしており、メラトニンを含むいくつかのホルモンの生成に影響します。メラトニンの濃度は夜間は高く、日中は低くなります。また、青色成分を多く含む光は人の能力や集中力を活性化し、増加させることが研究で明らかになっています。逆に、青色成分が軽くなると体がリラックスし、より生産性が低いモードになりますが、体は穏やかになります。

 このように、光と人間の生態は密接な関係があるため、時間や活動状況に合わせて照明器具の輝度と色温度を調節することにより、快適な空間と健康的な生活を可能にします。

 色温度を変化させるには、パルス幅変調(PWM)に基づくデジタル調光技術を用いますが、白色LEDを調整するには暖白色と冷白色が必要になり、熱放散、ハウジング、プリント基板設計、ヒートシンクを含む機械設計なども考慮する必要があり、かなり複雑な制御になります。

 

 インフィニオン社のXMC1200シリーズ(ARM Cortex-M0プロセッサコア)は、輝度と色温度のコントロールユニットを内蔵しているので、マルチチャネルLEDランプの調光レベルと色温度を自動的に制御することができます。そして、LED照明シールドボードなどの開発ツールを使用すると、簡単にHCLシステムを開発することができます。このシールドボードは、I2Cプロトコルを介してスレーブとしてマスタボードと通信します。Arduino Unoやインフィニオン社のXMC1100ブートキットをマスタボードとして使用できます。

 ArduinoボードとXMC1200シリーズを組み合わせることにより、2700Kの色温度の暖かい白から、5700Kの寒色の白まで、4095の個別ステップでランプを制御できます。また、フリッカーのない高品質の光を0.5%の調光レベルまで、4095の個別ステップで調光することもできます。

 なお、ここで解説しているすべてのデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。

  

LEDコントロールユニット内蔵マイコンXMC1200シリーズ
【XMC1202T016X0032ABXUMA1】 321円
Arduino Uno LED照明シールド
【KITLEDXMC1202AS01TOBO1】 3,104円
XMC1100ブートキット
【KIT_XMC11_BOOT_001】 2,685円

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