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Digi-Key社【アプリケーションラボ】技術解説記事のご紹介「電源の選択などに影響を及ぼす第4版医療用機器規格」

 「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。

 今回は、その中から医療用機器の安全を保証するための規格に関する解説記事
 ■電源の選択などに影響を及ぼす第4版医療用機器規格

の概要をご紹介します。

 

 

 医療用に使用する電子機器は、一般的な電子機器よりも安全がより重要になります。そこで、国際電気標準会議(IEC)は、医療用電気機器の安全性および必須性能に関する技術基準IEC60601-1を発行しています。1977年に第1版が発行されてから定期的に更新されており、2014年に発行された第4版が最新となっています。IEC60601-1は医療用電気機器のベンチマークとして広く受け入れられており、IEC60601-1の遵守は多くの国で電気医療機器を製品化する際の要件となっています。現在は、ほとんどの国で第3版または第3.1版の届出・認証・承認を必要条件としており、第4版は移行期間となっています。しかし、米国とEUは2018年12月31日で移行期間が終了し、2019年1月から販売する製品は第4版の適応が義務付けられています。なお、日本では2023年2月28日までが移行期間となっています。

 【アプリケーションラボ】の技術解説では、IEC60601-1第4版において医療用機器の安全性および機能に対するアプローチがどのように変更されるのかについて詳しく解説しています。IEC60601-1は、コア規格である60601-1-1と、特定の分野をカバーする複数の付随規格(60601-1-x)で構成されています。付随規格の中でも60601-1-2はEMCに関する規格であり、第4版の改訂で最も重要視されているものです。

 EMC(電磁両立性)技術は、電子機器が外部に電磁妨害波を出さないことと外部から電磁波などの影響を受けて誤動作しないことを求められます。電磁波を出さないようにするほうをエミッション、電磁波により妨害を受けないようにするほうをイミュニティと言い、第4版ではイミュニティ対策についての項目が大きく修正されました。それは、スマートフォンなどの無線機器が急速に普及してきたため、医療現場に持ち込まれる可能性が非常に高まっているからです。主要な変更点は、次の項目です。
 

・使用環境の明確化

・ポートの定義

・テストレポートへの文書化

・リスク管理に関する要求の強化

・イミュニティ試験要求レベルの引き上げ
 

 特に、電源の選択が重要であり、医療機器メーカーは第4版のEMC規格に準拠した電源を利用することで、認証の取得を容易にし、発売までの時間を短縮することができます。是非、参考にしてください。

 

 

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