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Digi-Key社【アプリケーションラボ】技術解説記事のご紹介「SiCとGaNパワーコンポーネントを使用したEVの設計要件への対応」

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 今回は、シリコンに代わるパワーデバイスとして注目されているSiCとGaNデバイスを電気自動車(EV)に使用する際の利点と注意点について解説した記事をご紹介します。

SiCとGaNパワーコンポーネントを使用したEVの設計要件への対応

 現在、各メーカーによる電気自動車の開発競争が激しさを増していますが、航続距離を伸ばすことが最重要課題となっています。その対策として、窒化ガリウム(GaN)シリコンカーバイド(SiC)などのワイドバンドギャップ半導体の活用が注目されています。

 バンドギャップは、電子を価電子帯から伝導帯に励起させるのに必要なエネルギーです。Siの場合は1.1eV(電子ボルト)ですが、SiCは3.3eV、GaNは3.4eVという高い値を示し、Siに比べて大幅に高い電圧、高い周波数、高い温度で動作させることが可能になります。さらにスイッチング損失や伝導損失も低く、伝導特性とスイッチング特性はSiのおよそ10倍優れています。

 まだSiCやGaNデバイスの製造コストはSiデバイスに比べて高くなっていますが、徐々に下がりつつあり、バッテリの低コスト化や必要なスペースの軽減、さらにヒートシンクの小型化や対流冷却などの冷却手段の簡素化などを考慮すると、全体的なコストダウンが可能になります。

 【アプリケーションラボ】の解説記事では、シリコンに対するワイドバンドギャップ半導体の利点について紹介し、SiCやGaNがどのように電気自動車に利用されているかを解説しています。どちらも優れた特性を示すデバイスですが、駆動方法やパッケージングにおいて注意すべきこともあり、これらの点についても詳しく解説しています。

 SiCデバイスは、主に電気自動車のメインとなるトラクションインバータに使用されています。トラクションインバータの役割は、DC電圧をAC電圧に変換してモータを駆動することと、回生ブレーキにより発生したAC電圧をDC電圧に再変換してバッテリに充電することです。写真はローム社のハーフブリッジSiCパワーモジュールです。

 GaNデバイスは、主に車載充電器に使用されています。車載充電器は、家庭のAC電源や充電スタンドのコンセントからバッテリを充電する役割をします。GaNデバイスを使用すると、充電時間を短縮し電力損失を低減することが可能になります。

 ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
 

ハーフブリッジSiCパワーモジュール
【BSM300D12P2E001】 80,756円
1200V SiCパワーMOSFET
【SCT10N120】 1,457円
650V Nch GaN FET
【TP65H035WSQA】 2,670円
650V Nch GaN FET
【TPH3205WSBQA】 2,685円
650V CoolSiC Schottky Diode
【AIDW20S65C5XKSA1】 2,504円

 

下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
 
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