2015年10月06日

デバイス

SA602Aを用いた50MHzクリコンの製作 -製作編-

前回に引き続き、50MHzクリコンを製作します。

◎プリント基板の製作

サンハヤトの感光基板NZ-P10Kを用いました。

▽マルツオンライン クイックポジ感光基板 片面 1.6t×75×100【NZ-P10K】
http://www.marutsu.co.jp/pc/i/64837/

写真5にプリント基板の外観を示します。サイズは40mm×70mmです。
NZ-P10Kは75mm×100mmなので、もったいないので2枚作りました。(図9)

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基板取付用を含めて、穴は合計46個あり、2枚分で92個です。
7月の暑い日でしたので、これ位の穴数で良かったです。
写真5のように面実装はSA602Aのみです。

◎ケース加工

タカチのMB-2を用いました。
http://www.marutsu.co.jp/pc/i/4635/

このケースは板厚1.0のアルミなので、加工は楽です。
M型コネクタの丸穴はシャーシパンチを使用しています。

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◎プリント基板の部品実装

面実装部品がありますので、はんだこては2種類を用いて使い分けています。

(SA602A)
こて先の細い22W セラミックヒーター型はんだこて 表面実装基板/LSI用【CXR-31】
http://www.marutsu.co.jp/pc/i/42074/

(その他の部品)
90W/15W切り替えタイプ 即熱はんだこて【TQ-95】
http://www.marutsu.co.jp/pc/i/7241/

消費電力切り替えタイプは便利です。M型コネクタなどは90Wに切り替え(即熱)てはんだ付けします。

◎組み込み

写真7に基板をケースへ組み込んだ様子を示します。
基板上の部品点数が少なく、この写真では分かりませんが、SA602Aは基板はんだ面実装です。

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電池ケースはケース内部への実装は可能なのですが、実装すると電源スイッチが必要になります。

また、電池交換時はケースを開けなければなりません。
そこで今回は図10のように電池ケースをケースのカバー上へ両面テープにて固定することにしました。
少し不格好ですが、これにより電源ON/OFFは電池を抜きさしすることとし、電源スイッチは不要です。

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◎調整

主な調整は入出力のコイル(L1,L2)です。

50MHz帯はバンド幅が広いですが、親受信機はFR-50BなのでSSB受信を目的とし、調整周波数を50.2MHzとします。

★使用機材

50MHz帯はいつも運用局がいるとは限りません。
信号源は信号発生器(以下、SGと呼ぶ)が必要です。

今回は以下の機材を用いています。

SG
100MHz帯域アナログオシロスコープ
スペクトラムアナライザ
周波数カウンター
デジタルマルチメータ
親受信機(FR-50B)

オシロスコープはデジタル方式でも良いです。

★局発の動作確認

局発が動作しているか確認します。

図11のようにSA602Aの6ピンまたは7ピンをオシロスコープで観測し、オシロスコープの周波数カウンター機能で22MHz付近となっていればOKです。
この場合、オシロスコープのプローブに一般的なパッシブプローブを用いると、実際の発振周波数より若干低く観測されます。

発振レベルは筆者の場合、約0.7Vp-pでした。

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★発振周波数がずれている

局発の動作確認後はコイルL1,L2の調整になるのですが、この調整中に局発の発振周波数がずれていることに気づきました。

図11ではオシロスコープで局発の動作確認を行っていますが、この方法では発振周波数に影響を与えます。

図12のように局発部はコルピッツ発振回路です。
オシロスコープのプローブにはコンデンサ成分があります。
したがって、プローブを6ピンまたは7ピンに接続すると、余計なコンデンサ成分が発振回路に接続された状態になり、本当の発振周波数の観測(測定)になりません。

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そこで今回は図13の方法で発振周波数をチェックしています。

50.2MHzを受信し、この変換周波数を観測する方法です。
これであれば、局発回路に影響を与えませんので、実際の発振周波数が観測できます。

50.2MHzの受信ですから、局発の周波数が合っていれば、変換周波数は
変換周波数 = 50.2MHz – 22MHz = 28.2MHz
となるはずです。実際には変換周波数が約28.195MHzでしたので、発振周波数は
発振周波数 = 50.2MHz – 28.195MHz = 22.005MHz
となり、5KHz上にずれています。

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5KHzのずれは多きすぎです。そこで、発振周波数の調整を行うことにします。

周波数が高くなっているということは、負荷容量が不足しているということです。
つまり、周波数を下げるにはコンデンサ容量を増やせば良いということです。

図14のようにC6,C7の容量を増やし、最終的に C6 = C7 =47pF で発振周波数が28.199974MHzになりました。
まだ、26Hzの差がありますが、この値は誤差の範囲内です。

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このようにして発振周波数を調整しました。

せめて、発振周波数調整用にトリマーコンデンサのパターンを用意しておけば良かったと思います。

今回は47pFで、ほぼ22MHzになりましたが、この結果は「たまたま」で、いつもこの結果になるとは限りません。
そもそも、指定負荷容量が分からない水晶を用いたことが悪いです。

なお、図13の調整方法は、L1,L2をある程度調整した後でなければなりません。
用いる周波数カウンターによりますが、変換出力が小さいと、カウントしてくれない場合があります。

★L1,L2の調整

これにより、感度調整を行います。図15に調整方法を示します。

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今回はスペアナ(スペクトラムアナライザ)を用いています。

親受信機をスペアナの替わりとしても良いです。つまり、28.2MHzを受信し、この時のSメーターの振れが最大となるようにL1,L2を調整します。

コアの位置が上下端を越えて調整しきれない場合、それは同調周波数がずれています。
このような場合、コイルの巻数を加減して、再度調整します。

この作業は時間がかかるかもしれませんが、これが自作の面白いところです。
筆者の場合、事前にGDMで確認していましたので、それほどのズレはありませんでした。

★出力同調部の方式変更

調整作業が一段落したところで、出力同調部の方式を変更しました。
図16 a ) は設計当初の「C分割方式」ですが、これを図16 b ) の「トランス方式」に変更しました。
トランス方式の場合、2次巻線が必要になり、これを巻くのが面倒なので、C分割方式を採用していました。
ところが、基板パターンは若干の変更でトランス方式にも対応できそうです。
試しにトランス方式で行ってみると、こちらのほうが結果が良かったので、最終的にトランス方式になっています。

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写真8に基板はんだ面の様子を示します。

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◎イメージ混信の問題

イメージ周波数は局発が22MHz、変換周波数が28MHzですから図17のように6MHzです。
この関係は最初から分かっていたことですが、実際に受信してみると、やはり、イメージを受信しています。

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調整が終わったのが平日の午後で、早速、アンテナ(広帯域のディスコーン)を接続してみると、アマチュア局は受信できません。
ところが50.0MHzより少し上の周波数近辺でAM放送らしきものがかすかに聞えます。
たぶん、イメージだなと思い、別の短波ラジオで聞き比べるとラジオNIKKEIです。
周波数を調べると6.055MHzです。つまり、22MHz + 6.055MHz = 28.055MHzの関係で、50MHz帯で言えば、50.055MHzのダイアル位置で受信できることになります。
もう一つ受信できる局は海外の放送局のようです。

極端に感度の悪い短波ラジオになっています。

最初、このイメージ(混信)は気にはならなかったのですが、やはり改善をしたほうが良いです。

そこで図18のようハイパスフィルタ(HPF)をアンテナとの間に入れることにします。

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LCによる5次チェビシェフでカットオフ周波数は約40MHzです。

プリント基板に実装できないので、写真9のように小基板の上にHPFを組んで、M型コネクタに直付けです。
これによりラジオNIKKEIなどのイメージ混信は無くなりました。

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◎最終回路

図19に最終回路を示します。

変換利得はHPFを除いた本体部分で約16dBの結果です。
消費電流は約2.7mAと少なく、単4電池でも良かったかなと思います。

HPFおよび各コイルのデータは公開しません。
特に、コイルL1,L2に関してはコア入りボビンの入手性の問題と巻線径、巻き数、その他巻き方により再現性が悪い場合があります。

C6,C7は前述しましたが、用いる水晶の指定負荷容量により異なります。

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◎変換の様子

波形データ1に変換の様子を示します。

50.2MHzを入力し、変換出力をスペアナで観測したもので、28.2MHzに変換されていることが分かります。
変換出力(28.2MHz)と局発の漏れ(22MHz)とのレベル差は約30dBで、オシロスコープでも変換出力を観測することができます。
デジタル方式ではなく、アナログ方式の帯域100MHzクラスのオシロスコープをお勧めします。

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◎運用

★受信システム

図20に受信システムを示します。
アンテナは広帯域のディスコーンです。

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★運よくEスポが発生

移動運用局が多い土日まで待つことにしたのですが、別の平日の午後に運良くEスポが発生していました。

この日、FR-50Bのダイアルを回すと、いきなり受信できました。
移動局ではありません、九州の局です。FR-50BのSメーターが力強く振れています。

Eスポが何時ころから発生していたのか分かりませんが、筆者が受信できた時間帯は午後2時頃から2時半の30分ほどで、関東地区在住です。

それにしても50MHz帯は7MHz帯と異なり、周波数ダイアルを回してもノイズしか聞えない時もありますが、いきなり強烈に受信することができてびっくりします。

何十年ぶりかにFR-50Bによる50MHz帯受信ができ、FR-50Bのダイアル操作が心地良いです。

◎まとめ

SA602Aを用いて簡単にクリコンを製作しました。

今回のような周波数関係ではイメージ混信の問題があり、対策が必要です。

今回は予備実験をしないで、いきなりプリント基板を製作してしまいました。
トラブルはつきものですが、やはり、予備実験は必要です。
他の応用として、7MHz帯のダイレクト・コンバージョン受信機などは一度は製作したいものです。

ところで、このまとめを書いているのは土曜日の午後なのですが、AMで運用している移動局を受信することができました。
久しぶりに真空管受信機(FR-50B)で聞くAM電波です。

50MHzのAM送信機の製作に興味がわいてきました。

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